腹腔鏡手術とは
腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ、ラパロスコピー)とは、腹部に3〜12mmの小切開を3〜4箇所開け、そこからカメラ(腹腔鏡)と細長い手術器具を挿入して行う外科手術です。1987年にフランスのPhilippe Mouretが世界初の腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行して以来、現在では消化器外科・婦人科・泌尿器科の多くの術式において標準的な手法として確立されています。日本では年間約25万件(2020年・日本内視鏡外科学会調べ)の腹腔鏡手術が行われており、外科手術の中核を占める技術です。当院(吉祥寺日帰り手術クリニック)では腹腔鏡手術を基本術式として採用し、日帰りでの手術を提供しています。
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この手術のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 切開サイズ | 3〜12mm × 3〜4箇所(合計2〜4cm程度) |
| 麻酔 | 全身麻酔(麻酔科専門医が管理) |
| 入院 | 不要(術後1〜2時間で帰宅) |
| 社会復帰 | デスクワーク翌日〜数日(術式により異なる) |
| 特徴 | 拡大視野、精密な操作、低侵襲 |
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腹腔鏡手術の仕組み
気腹(きふく)―腹腔を広げる
腹腔鏡手術では、まず腹壁に小さな針を刺して炭酸ガス(CO2)を腹腔内に注入し、腹腔を風船のように膨らませます(気腹)。腹腔内の圧力を8〜12mmHgに保つことで、臓器と腹壁のあいだに作業空間が生まれ、器具の操作が可能になります。手術が終わればCO2は自然に体外へ排出されます。なお、術後に一時的な肩や首の痛み(横隔膜刺激によるもの)が生じることがあります。
カメラ(腹腔鏡)と手術器具
腹部に開けた小切開にトロカール(管状の器具)を挿入し、そこを通じて腹腔鏡と鉗子・剪刀・電気メスなどの手術器具を入れます。腹腔鏡の先端には高解像度の小型カメラが搭載されており、腹腔内の映像を外部モニターにリアルタイムで映し出します。術者はモニター映像を見ながら手術器具を操作します。
拡大されたモニター映像での手術
腹腔鏡カメラは腹腔内で肉眼の4〜8倍に拡大した視野を提供します。血管・神経・臓器の境界が鮮明に見えるため、精密な剥離や縫合が可能です。
【腹腔鏡手術のイメージ】
╔════════════╗
║ モニター ║ ← 4〜8倍に拡大された腹腔内映像
╚════════════╝
↑
┌─────────┐
│ 腹腔鏡 │ ← 先端カメラが腹腔内を撮影
└─────────┘
トロカール (3〜12mm)
─────┬─────
│腹壁
○ ○ │ ○ ○
│
腹腔内(CO2で膨張)
─ 腸 ─ 臓器 ─
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開腹手術との比較
| 比較項目 | 腹腔鏡手術 | 開腹手術 |
|---|---|---|
| 切開サイズ | 3〜12mm × 3〜4箇所 | 5〜20cm × 1箇所 |
| 術後の痛み | 軽度(鎮痛剤で管理可) | 中〜強度 |
| 回復期間 | 数日〜1週間 | 1〜4週間 |
| 整容性(傷跡) | 目立ちにくい | 線状瘢痕が残る |
| 視野の広さ | 拡大視野(4〜8倍) | 直視(等倍) |
| 手術時間 | やや長い場合がある | 術式による |
| 出血量 | 少ない傾向 | 多い傾向 |
| 日帰り適応 | 適している | 困難 |
| 感染リスク | 低い傾向 | やや高い傾向 |
| 全身麻酔の必要性 | 必要 | 術式により異なる |
| 適応疾患の幅 | やや限られる | 幅広い |
日本内視鏡外科学会の第15回アンケート調査(2020年)によると、腹腔鏡手術は消化器外科領域で術後合併症の減少・入院日数の短縮に寄与しており、多くの疾患で開腹手術に代わる標準術式となっています。
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腹腔鏡手術のメリット
1. 傷が小さい
切開が3〜12mmと非常に小さいため、皮膚・筋肉・腹壁へのダメージが最小限です。開腹手術に比べて術後の傷跡が目立ちにくく、整容的に優れています。
2. 術後の痛みが少ない
筋肉の切離が少ないため、術後の疼痛が開腹手術と比べて有意に軽度です。多くの方は市販の鎮痛剤を補助的に使用する程度で管理できます。
3. 入院期間の短縮・日帰り手術が可能
身体への侵襲が小さいことで回復が早く、適切な術前・術後管理のもとでは日帰り手術(当日帰宅)が実現できます。入院に伴う費用・精神的ストレス・生活への影響が大幅に軽減されます。
4. 社会復帰が早い
デスクワークであれば術翌日から復帰が可能なケースも多く、体を使う仕事でも数日〜1週間程度で通常業務に戻れます。現役で働く方・育児中の方に特に大きなメリットがあります。
5. 拡大視野による精密な手術
腹腔鏡カメラが提供する拡大・高解像度映像により、肉眼では見えにくい細い血管や神経を確認しながら手術できます。精密な操作が可能なため、重要臓器への損傷リスクを低減できます。
6. 感染リスクの低減
切開が小さいため腹腔内への外気暴露が少なく、創感染・腹腔内感染のリスクが開腹手術に比べて低くなります。
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腹腔鏡手術の注意点・限界
全身麻酔が必要
腹腔鏡手術は気腹を行うため、全身麻酔が必須です。局所麻酔や脊椎麻酔では対応できません。術前に全身状態の評価を行い、麻酔リスクが高いと判断された場合は手術の適応を検討します。当院では麻酔科専門医(副院長 高宮達郎)が術前評価から術中管理・術後覚醒まで一貫して担当します。
開腹手術への移行の可能性
腹腔内の癒着が強い場合・出血量が多い場合・術中に予期しない状態変化が生じた場合などは、安全のために開腹手術へ移行(コンバージョン)することがあります。術前に可能性をお伝えし、患者さんに同意を得たうえで手術を行います。
術者の技量への依存
腹腔鏡手術は特殊な器具をモニター映像を見ながら操作するため、開腹手術とは異なるトレーニングが必要です。術者の技量が手術結果に影響する側面があります。当院院長 黒河内喬範は外科専門医として腹腔鏡手術の豊富な経験を持ち、安全な手術を提供します。
CO2気腹に伴う副作用
術後に横隔膜刺激による肩・首の痛み、腹部の張り感が数日間続くことがあります。通常は自然に消失しますが、症状が強い場合は受診してください。
深部視野・触覚の制限
腹腔鏡手術ではモニター越しの2次元(または3次元)視野での操作となり、開腹手術で得られる直接的な触覚情報が制限されます。術者はその制限を技術と経験で補います。
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当院で行う腹腔鏡手術
当院では以下の疾患に対して腹腔鏡手術を行っています。各疾患ページで詳細をご確認ください。
| 疾患名 | 術式 | 手術時間の目安 |
|---|---|---|
| 鼠径ヘルニア(脱腸) | TAPP法(腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術) | 30〜60分 |
| 腹壁ヘルニア | 腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術 | 60〜120分 |
| 虫垂炎 | 腹腔鏡下虫垂切除術 | 45〜90分 |
| 中心静脈ポート(CVポート) | 腹腔鏡補助下ポート留置術 | 30〜60分 |
対応疾患については今後も順次追加予定です。受診時に詳しくご相談ください。
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当院の設備
腹腔鏡システム
手術室
手術室を2室完備しており、安全かつ効率的に手術を行える体制を整えています。各室に生体監視装置(心電図・血圧・酸素飽和度・カプノグラム)を備え、麻酔科専門医が術中の全身管理を担当します。
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よくある質問
Q1. 腹腔鏡手術は保険適用ですか?
はい、腹腔鏡手術の多くは健康保険の適用対象です。鼠径ヘルニア・虫垂炎・胆嚢疾患など、当院で行う疾患はいずれも保険診療で対応しています。3割負担での目安は疾患ごとに異なりますが、5〜15万円程度です。詳細は各疾患ページまたは診察時にご確認ください。
Q2. 腹腔鏡手術は誰でも受けられますか?
全身麻酔に耐えられる状態であること、腹腔内の癒着が著しくないことなどが基本的な条件です。重篤な心臓病・肺疾患・血液凝固障害がある方は、術前評価で適応を慎重に判断します。過去に腹部手術を受けた方は癒着の程度により適応を検討します。詳細は初診時にご相談ください。
Q3. 開腹手術の経験がある場合でも腹腔鏡手術を受けられますか?
過去の開腹手術による腹腔内の癒着が強い場合は、腹腔鏡手術が困難なこともあります。ただし、癒着の程度・部位・前回手術からの期間によって判断が異なります。術前の問診と画像評価をもとに、院長が適応を個別に判断いたします。まずはご相談ください。
Q4. 腹腔鏡手術の後、傷跡は残りますか?
3〜12mmの小さな傷が3〜4箇所残りますが、数ヶ月〜1年程度で目立たなくなるケースがほとんどです。開腹手術の10〜20cmの線状瘢痕と比較すると、整容的に大きく優れています。ただし、ケロイド体質の方は傷跡が目立ちやすい場合があります。
Q5. 腹腔鏡手術後に再度手術が必要になることはありますか?
腹腔鏡手術は術後合併症の発生率が低く、再手術が必要になるケースは少数です。ただし、ヘルニアの再発・術後出血・感染などが起きた場合は再手術が必要になることがあります。術後フォローアップで異常を早期に発見し、必要な対処を迅速に行える体制を整えています。
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参考文献
- 日本内視鏡外科学会. 内視鏡外科手術に関するアンケート調査 第15回集計結果報告. *日本内視鏡外科学会雑誌*. 2020;25(6):587-685.
- Mouret P. How I developed laparoscopic cholecystectomy. *Ann Acad Med Singapore*. 1996;25(5):744-747.
- 日本外科学会. 外科領域における腹腔鏡手術の安全管理に関するガイドライン. 2022.
- Vettoretto N, Cirocchi R, Randolph J, et al. Laparoscopic cecectomy for right colectomy. *Cochrane Database Syst Rev*. 2019. doi:10.1002/14651858
- 厚生労働省. 医療施設調査. 2022年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html
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当院について
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | 吉祥寺日帰り手術クリニック |
| 院長 | 黒河内喬範(外科専門医) |
| 副院長 | 高宮達郎(麻酔科専門医) |
| 所在地 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-5 |
| 最寄駅 | JR中央線・京王井の頭線 吉祥寺駅 徒歩2分 |
| 開院 | 2026年秋予定 |
腹腔鏡手術についてご不明な点・ご不安な点は、お気軽にご相談ください。外科専門医と麻酔科専門医が連携し、安全な日帰り手術を提供いたします。