吉祥寺駅アトレ本館西口 徒歩2分・2026年12月開設|外科・耳鼻咽喉科・整形外科の日帰り手術

気胸(自然気胸)の日帰り手術

気胸(自然気胸)の症状としくみ、胸腔鏡手術の方法と流れ、入院手術との違いと日帰りで受けられる条件を解説。費用は保険診療の場合、3割負担で約8〜12万円が目安の見込み。放置のリスクや入院をお勧めする場合も確認できます。

医学監修:(外科専門医)

気胸(自然気胸)

状態が安定している自然気胸は、吉祥寺日帰り手術クリニック(2026年12月開設)で日帰り手術ができる予定です。

呼吸困難が強い、肺が大きくしぼんでいるなど緊急性が疑われる場合は、まず入院できる救急医療機関の受診が必要です。

気胸のセルフチェック気胸で見られる主な症状のセルフチェック図。突然の胸の痛みがある、息苦しさ・呼吸困難、乾いた咳が出る、動くと胸が痛む、背中に痛みがある。2つ以上該当する方は、一度ご相談くださいセルフチェック:気胸突然の胸の痛みがある息苦しさ・呼吸困難乾いた咳が出る動くと胸が痛む背中に痛みがある2つ以上該当する方は、一度ご相談ください

この手術のポイント

手術時間
約30〜60分
滞在時間
来院から帰宅まで 約4〜5時間(目安)
麻酔
全身麻酔(麻酔科専門医が管理)
入院
不要(術後約3時間の経過観察ののち帰宅)
傷
3〜12mm × 3箇所(胸腔鏡手術)
社会復帰
デスクワークは状態がよければ翌日から検討。体を使う仕事は負荷により相談(重い物は2週間程度、強めの運動は約4週間が目安)
費用
3割負担で約8〜12万円(保険適用・高額療養費制度利用可)

数値は一般的な目安で、当院の診療実績ではありません。保険診療開始後の見込みです。帰宅・復帰の時期は、術後の状態により異なります。

気胸は、肺が虚脱する(しぼむ)病気です。肺の表面に穴が開き、胸腔内(肺と胸壁の間)に空気が漏れ出すことで起こります。

原因により「自然気胸」「外傷性気胸」「医原性気胸」に分けられます。最も多いのは原発性自然気胸です。

これは、明らかな基礎疾患(もともとの病気)がない若い人に突然起こります。日本では年間約1〜2万人が発症し、人口10万人あたりの年間発症率は男性で18〜28人、女性で1.2〜6人と報告されています。

男女比は約5:1です。発症のピークは、15〜25歳の痩せ型の若い男性です。

原発性自然気胸の直接的な原因は、肺尖部(肺の頂上付近)に存在するブラ(bleb/bulla:肺胞壁の嚢胞性変化)の破裂です。ブラの形成には、末梢気道の炎症、結合組織の脆弱性(マルファン症候群やエーラスダンロス症候群などの遺伝的要因)、喫煙(非喫煙者と比較して男性で22倍、女性で9倍のリスク上昇:PMID: 3677805)などが関与します。

「背が高く痩せ型の若い男性」に多いのは、肺の高さに対する胸腔内圧の勾配が大きく、肺尖部にかかる負荷が大きいためと考えられています。また、気圧の急激な変化(台風・低気圧の通過)が発症の誘因となることがあります。

主な症状は、突然の胸痛と呼吸困難です。胸痛は鋭い刺すような痛みで、深呼吸で強くなります。

軽度の気胸(虚脱率20%未満)では、安静・経過観察だけで自然に治ることもあります。一方、中等度以上の気胸では、胸腔ドレナージ(管を挿入して空気を排出する処置)が必要です。

緊張性気胸は救急疾患で、直ちに処置が必要です。胸腔内の空気が増え続けて心臓を圧迫し、血圧低下・ショックを引き起こします。

気胸の最大の課題は再発率の高さです。初回の気胸を保存療法(安静・ドレナージ)で治療した後の再発率は、30〜50%に達します。

2回目の気胸の後は、再発率が60〜80%にさらに上がります(PMID: 9371212)。手術療法(胸腔鏡下ブラ切除術)は、再発率を約5%以下に下げられます。

British Thoracic Society(BTS)やAmerican College of Chest Physicians(ACCP)のガイドラインでは、次の場合に手術が推奨されています。2回目以降の気胸、持続するエアリーク(空気漏れ、7日以上)、両側気胸、血気胸、職業上のリスク(パイロット・ダイバー)などです。

胸腔鏡下手術(VATS: Video-Assisted Thoracoscopic Surgery)は、低侵襲手術(体への負担が少ない手術)です。開胸手術と比べて、術後の痛みが少なく、回復が早いです。

吉祥寺日帰り手術クリニックでは、胸腔鏡下ブラ切除術による日帰り手術を提供する予定です。


気胸について

正常な肺と、肺の外に空気がたまり縮んだ肺を比べた医学模式図。
正常な肺と気胸の比較
気胸では、肺と胸壁の間に空気がたまり、肺が縮みます。[図1]
AI生成の模式図です。正常と疾患の構造の比較で、治療前後の写真ではありません。

気胸にはどのような症状がありますか?

気胸には以下の典型的な症状があります。

1. 突然の胸痛

安静時や軽い運動時に突然、患側(気胸が起きた側)の胸に鋭い痛みが出ます。深呼吸や咳をすると、痛みが強くなることが多いです。痛みの程度は、軽い違和感から鋭い刺すような痛みまで幅があります。痛みの強さは、肺虚脱(肺のしぼみ)の程度に必ずしも比例しません。

2. 呼吸困難・息苦しさ

肺が虚脱する(しぼむ)と、十分な換気(空気の出し入れ)ができなくなり、息苦しさを感じます。軽度の気胸では、安静時には息苦しさを感じないこともあります。ただし、階段の昇り降りや運動時に、息切れが目立つようになります。高度の虚脱では、安静時でも呼吸困難が起こります。

3. 乾性咳嗽

漏出した空気が胸膜を刺激して、痰を伴わない空咳が出ることがあります。咳のたびに胸痛が増強する場合があります。

4. 肩や背中への放散痛

胸膜が刺激されることで、患側の肩や背中に痛みが広がる(放散する)ことがあります。まれに首筋に広がることもあり、肩こりと間違えられることがあります。

気胸の原因は何ですか?

ブラの形成と破裂

自然気胸の多くは、ブラ(bleb/bulla)が破裂することで起こります。ブラは、肺尖部(肺の頂上付近)にできる薄い壁の嚢胞(小さな空気の袋)です。肺胞壁の弱い部分がふくらんでできます。痩せ型・長身の若い男性では、成長期に肺尖部にかかる力学的ストレスが大きくなることが、ブラの形成に関与すると考えられています。

気胸の種類

種類原因好発特徴
原発性自然気胸肺尖部のブラ破裂若年男性(15〜35歳)、痩せ型明らかな肺疾患なし。当院の主な対象
続発性自然気胸COPD・間質性肺炎等の肺疾患に伴うもの中高年、喫煙者基礎疾患の治療が必要
外傷性気胸肋骨骨折・穿通性外傷等全年齢外傷の治療が優先
月経随伴性気胸子宮内膜症の胸腔内進展30〜40代女性月経周期に一致して再発

リスク因子

気胸の発症には以下のリスク因子が関与しています。

  • 喫煙: 非喫煙者と比較して男性で約22倍、女性で約9倍リスクが上昇する(用量依存性あり)
  • 痩せ型・長身: BMIが低いほど発症リスクが高い。肺尖部への力学的ストレスが関与
  • 男性: 男女比は約5:1で男性に多い
  • 若年(15〜35歳): 第一発症のピークは15〜25歳
  • 家族歴: 遺伝的素因の関与が報告されている
  • 気圧の変動: 台風や気圧低下時に発症が増える傾向がある
  • マルファン症候群等の結合組織疾患: 肺組織の脆弱性が関与

気胸は再発しますか?

自然気胸の再発は治療法の選択において重要な要素です。

  • 保存療法(安静・胸腔ドレナージ)後の再発率: 初発時30〜50%、2回目発症後50〜70%
  • 胸腔鏡手術後の再発率: 約2〜5%
  • 再発の約70%は初発から2年以内に生じます
  • このため、2回以上の再発では手術が強く推奨されます
気胸を放置した場合の経過気胸を治療せずに放置した場合の経過を段階ごとに示した図。初期(軽い息苦しさ・数時間) → 進行(呼吸困難が増す・数日) → 支障(日常生活に支障・1〜2週) → 緊張性(生命の危険・突然)。早期の治療で合併症のリスクを下げられます。放置するとどうなる?初期軽い息苦しさ数時間進行呼吸困難が増す数日支障日常生活に支障1〜2週緊張性生命の危険突然早期の治療で合併症のリスクを下げられます

気胸に関するよくある質問

Q1. 気胸は自然に治りますか?

軽度の気胸(肺の虚脱が20%以下)は、安静にしていることで自然に改善する場合があります。しかし、自然に軽快した場合でも、再発率は30〜50%と高いです。2回目の発症後は、50〜70%に上昇します。再発を繰り返す場合は、根治的治療(根本から治す治療)として手術が推奨されます。

Q2. 手術を受ける目安はどのような場合ですか?

以下の場合に手術が推奨されます。2回以上の再発(同側)、両側気胸の既往、持続するエアリーク(5日以上肺が膨らまない場合)、血気胸(出血を伴う場合)、職業上のリスクがある場合(航空機パイロット、ダイバーなど)、CT検査で明らかなブラが確認される場合です。初発であっても、患者さんの希望やライフスタイルを考慮して手術を行う場合があります。

Q3. 喫煙は気胸に影響しますか?

喫煙すると、気胸になるリスクが大きく上がります。たばこを吸う人は吸わない人に比べて、男性で約22倍、女性で約9倍リスクが高いという報告があります。喫煙を続けると、手術後に再発するリスクも上がります。手術を受けるかどうかにかかわらず、禁煙は気胸の予防に重要です。



気胸手術の変遷 ― 「原因を見つける」から「小さく治す」へ

気胸の手術は、まず原因を突き止めることから始まりました。その後、原因をいかに小さな傷で取り除くかへと進んできました。

手術の歴史・術式の変化を見る
図:気胸手術の変遷

各世代は、前の世代が「残した課題」を解くかたちで生まれています。色に加えて「問題/改良された点/残った課題」のラベルを付けています。

1937年

胸腔鏡による観察ザットラー

✕ 問題

肺が突然しぼむ原因が分かっていなかった。

✓ 改良された点

胸腔鏡で胸の中を観察し、気胸の原因が肺表面のブラ(空気の袋)であることを突き止めた。

→ 残った課題

ブラを見つけられても、治療するには胸を大きく開ける必要があった。

〜1980年代

開胸によるブラ切除

✕ 問題

原因は分かったが、それを取り除く手段が開胸しかなかった。

✓ 改良された点

背中から脇にかけて切開し、ブラを切除した。これにより、再発を大きく減らせるようになった。

→ 残った課題

肋骨の間を大きく開くため術後の痛みが強く、入院も長期化した。

1990年代〜

胸腔鏡下ブラ切除術(VATS)

✕ 問題

開胸の負担が大きく、若い方ほど影響が大きかった。

✓ 改良された点

カメラと細い器具を数か所の小さな穴から入れて行う。肋骨を大きく開かずに済み、痛みと入院期間が大きく減った。

→ 残った課題

全身麻酔と片肺換気(片方の肺だけで呼吸させる管理)が必要。癒着(肺と胸の壁のくっつき)が強い場合は、開胸手術に切り替えることがある。

当院では胸腔鏡下ブラ切除術(VATS)を予定しています。肺の癒着が強い場合などは、入院設備のある医療機関をご紹介します。

当院の手術方法: 胸腔鏡下ブラ切除術(VATS)

胸腔鏡下ブラ切除術とは

胸腔鏡下ブラ切除術(Video-Assisted Thoracoscopic Surgery: VATS)は、胸腔鏡(カメラ)を使ってブラを切除する手術です。体への負担が少ない「低侵襲手術」の一つです。

開胸手術に比べて傷が小さく、術後の痛みも少なくなります。そのため、早く仕事や日常生活に戻ることができます。

日本呼吸器外科学会のデータでは、気胸の手術の90%以上がVATSで行われています。

手術の手順

  1. 胸部に3箇所の小切開(3〜12mm)を行い、胸腔鏡と手術器具を挿入します
  2. 分離肺換気: 麻酔科専門医の管理下で患側の肺を虚脱させ、術野を確保します
  3. 胸腔内の観察: 胸腔鏡で肺全体を観察し、ブラの位置・数・大きさを確認します
  4. ブラの切除: 自動縫合器(ステープラー)を使い、ブラを含む肺の一部を切除します。正常な肺を残しながら、原因となるブラを丁寧に切除します
  5. エアリークの確認: 切除部からの空気漏れがないことを水封テストで確認します
  6. 胸腔ドレーン留置の判断: 術後の状態に応じて細径ドレーンを留置するか、ドレーンなしで管理するかを判断します

胸腔鏡下手術の利点

  • 傷が小さく(3〜12mm × 3箇所)、術後の痛みが軽度
  • 胸腔鏡で肺全体を広く観察でき、見つけにくいブラも確認可能
  • 開胸手術と比較して回復が早く、早期の社会復帰が可能
  • 再発率が保存療法と比較して著しく低い(約2〜5%)
  • 整容性に優れ、傷跡が目立ちにくい

治療法比較表

項目保存療法(安静)胸腔ドレナージ胸腔鏡手術(吉祥寺日帰り手術クリニック)開胸手術
適応軽度(虚脱20%以下)中等度〜高度再発例・初発でも適応あり複雑な症例
入院数日3〜7日日帰り〜1日7〜14日
再発率30〜50%30〜50%約2〜5%約1〜2%
創の大きさなし約1cm(ドレーン挿入部)3〜12mm × 3箇所10〜20cm
術後の痛みなし軽度〜中程度軽度中程度〜強い
社会復帰1〜2週間1〜2週間デスクワーク翌日〜2〜4週間

英国胸部疾患学会(BTS)ガイドライン(2010年)は、次の場合に手術を推奨しています。2回目以降の再発、初発でも両側気胸、血気胸(出血を伴う気胸)、持続エアリーク(肺からの空気漏れが5日以上続く)、職業上のリスク(パイロット・ダイバー等)がある場合です(MacDuff A, et al., 2010)。

入院手術と日帰り手術の比較

項目入院手術日帰り手術(吉祥寺日帰り手術クリニック・VATS)
入院期間3〜7日なし(当日帰宅)
手術方法胸腔鏡手術(一部開胸)胸腔鏡手術
傷の大きさ3〜12mm × 3箇所3〜12mm × 3箇所
術後の痛み軽度〜中程度軽度(鎮痛剤で管理可能)
社会復帰1〜2週間デスクワーク翌日〜
費用(保険診療・3割負担の場合)約15〜25万円約8〜12万円
ドレーン管理入院中に管理ドレーンなし or 細径ドレーンで当日抜去
家族の対応入院中のサポート帰宅時の付き添いのみ

日帰り手術では、入院費用(差額ベッド代・食事代など)がかかりません。そのため、同じ手術でも自己負担額が軽くなります。高額療養費制度を使えば、さらに負担を抑えられる場合があります。

手術の流れ

気胸の手術当日のスケジュール気胸の手術当日の流れを時刻とともに示した図。8:30 来院、8:45 準備、9:00〜10:00 手術、〜13:00 回復、13:00頃 帰宅。手術時間は約30〜60分、麻酔は全身麻酔、院内滞在は約4〜5時間が目安です。手術当日のスケジュール8:30来院受付・問診票記入8:45準備着替え・点滴9:00〜10:00手術約30〜60分全身麻酔〜13:00回復安静・経過観察13:00頃帰宅お疲れ様でした院内滞在時間:約4〜5時間

1. 初回来院(診察・検査)

外来で診察を行います。胸部X線とCT検査で、ブラの位置・数・大きさを確認します。その結果をもとに、手術が適しているかを判断します。肺機能検査、血液検査、心電図などの術前検査を行います。麻酔科専門医による術前評価も行います。手術日を決め、術前の注意事項をご説明します。喫煙中の方には禁煙を指導いたします。

2. 手術当日朝(来院)

手術当日の朝にご来院いただきます。前日の食事制限(夜9時以降は絶食、水分は手術2時間前まで可)をお守りください。来院後、体調確認と手術の最終説明を行います。

3. 術前準備(約30分)

手術着に着替えていただき、点滴の管を入れます。麻酔科専門医が、麻酔の最終確認を行います。血圧・心電図・酸素飽和度のモニタリングを開始します。分離肺換気(左右の肺を分けて呼吸を管理する方法)のため、ダブルルーメンチューブまたは気管支ブロッカーを準備します。

4. 手術(30〜60分)

全身麻酔をかけて、胸腔鏡下ブラ切除術を行います。手術中の全身管理は、麻酔科専門医が担当します。これには分離肺換気の管理も含まれます。呼吸と循環は、生体監視装置で常にモニタリングします。手術中に肺全体を観察し、原因となるブラを丁寧に切除します。

5. リカバリー(約3時間)

手術後は、リカバリー室で麻酔からの目覚めと回復の様子を観察します。痛みの管理を行います。水を飲めること、歩けることを確認します。胸部X線で、肺が広がっていることを確認します。気胸が再発していないことも確認します。術後の状態が安定していることを、医師が判断します。

6. 帰宅指導・帰宅

次の内容をご説明します。術後の注意事項(息苦しさや胸の痛みが強くなった場合の対応)、薬の飲み方、緊急時の連絡先です。帰宅時は、ご家族の付き添いか、タクシーの利用をお願いしています。当日の入浴は避けてください。シャワーは翌日から可能です。

7. 術後フォロー

術後1週間前後に、外来を受診していただきます。胸部X線で肺が広がっていることを確認し、傷の状態を診ます。その後、必要に応じてもう一度診察します。再発がないことを確認できれば、治療完了です(通常2回程度)。

日帰り手術の適応となる条件

当院で日帰り手術をお受けいただけるかどうかは、病気の状態だけで決めるものではありません。全身の状態と帰宅後の環境もあわせて判断する予定です。年齢だけで一律に判断することはありません。麻酔科専門医が手術前に評価します。日帰りが適切でないと判断した場合は、入院設備のある医療機関をご紹介します。

気胸で確認する条件

  • 状態が安定している自然気胸が対象です。呼吸困難が強い、肺が大きくしぼんでいるなど緊急性が疑われる場合は、まず入院できる救急医療機関の受診が必要です。
  • 手術を検討する目安:2回以上の再発(同側)、両側気胸の既往(左右両方の気胸になったことがある)、持続するエアリーク(肺からの空気漏れが続く)、血気胸(出血を伴う場合)、職業上のリスク(航空機パイロット・ダイバーなど)、CT検査で明らかなブラが確認される場合。
  • 入院での手術をお勧めすることがある場合:高度な肺虚脱(肺が大きくしぼんだ状態)が続いている、血気胸を伴う、両側同時気胸(左右同時の気胸)、重い基礎疾患(COPDなど)がある、術中に高度な癒着が確認された場合。
  • 胸部X線およびCT検査でブラの位置・数・大きさを確認し、手術の適応を判断します。

診察・術前検査で確認すること

  • 病気の状態:気胸の再発回数と肺の状態(詳しくは上の「気胸で確認する条件」)
  • 心臓・肺などの持病と、服用中のお薬(血液をサラサラにする薬を含む)
  • これまでの麻酔・手術の経験と、そのときの体調
  • 手術当日に帰宅して過ごせる環境があるか

入院での手術をご案内する場合

  • 心臓や血管(動脈)の病気、肺の病気や重い喘息などの併存疾患がある方
  • 重い睡眠時無呼吸症候群や著しい肥満がある方
  • 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を休薬できない方
  • 年齢や全身状態から、入院して全身麻酔の手術を受けるほうが適切と判断される方

帰宅後に必要な準備

  • 手術当日は自動車・自転車・バイクの運転ができません(全身麻酔の影響が残るため)
  • 帰宅後、少なくとも当日中はご家族などに付き添っていただくことをお勧めします
  • 帰宅時にお渡しする緊急連絡先を確認し、いつでも連絡できるようにしておいてください

この病気に特有の考え方は、本ページの「入院手術と日帰り手術の比較」の項もご覧ください。日帰り手術の全体像は日帰り手術とはで詳しくご案内しています。手術前後の準備は手術前後の生活と注意点、麻酔については日帰り手術の麻酔についてをご覧ください。手術を受けられるかの最終判断は、初回診察・術前検査と麻酔科専門医の評価をふまえて行います。

手術のあとの生活の目安(項目別)

以下は、気胸(胸腔鏡下ブラ切除)の手術のあとに「いつから何ができるか」をまとめた当院の目安です。当院の外科医が通常ご説明している内容をもとにしています。

明確な決まりがない項目が多くあります。痛みに応じて少しずつ負荷を上げていくなど、ご自身の体調に合わせて判断していただく部分もあります。

回復には個人差があります。実際の時期は、診察でお一人おひとりにお伝えします。

日常生活の再開の目安
項目目安
シャワー翌日から(当日はお休みください)
湯船・温泉・プール術後1週間ごろから(湯船・温泉・プールとも)
傷のケア防水テープやガーゼは、3日を目安に外せます。傷が治る過程の炎症が落ち着く3日ごろまでは、とくに清潔に保ってください
抜糸ありません
痛み止め1週間分の決まった時間に飲む薬と、痛いときに追加で飲む薬を処方します。ほとんどの方は、約1〜2週間で薬が不要になります
歩行当日から可。制限はありません
階段・立ち座り・前かがみ当日から可。制限はありません
重い物を持つ2週間程度が目安です
家事・買い物・育児・介護翌日から、無理のない範囲で
軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)無理なくできる状態になれば再開できます
強めの運動(筋トレ・ランニング・球技・水泳)約4週間が目安です
自転車・車の運転麻酔の翌日以降で、眠気の出る鎮痛薬を使っておらず、安全に急ブレーキが踏める状態になってから
仕事(デスクワーク)状態がよければ翌日から検討できます
仕事(立ち仕事・力仕事)状態がよければ、翌日から検討できます。ただし、仕事の負荷によって異なります。重い物を持つ作業の目安は、上の「重い物を持つ」をご覧ください
出張・旅行・飛行機飛行機は、術後2週間ごろが目安です。術後1週間ごろの受診のレントゲンで肺が広がっていることを確認し、その確認から7日以上あけた時期にあたります(急ぎでなければ4週間あけるとより安心です)。航空会社によっては、胸部手術後14日以内の搭乗に診断書が必要です。スキューバダイビングは、原則として再開しないことをお勧めします。反対側の肺にもブラがあると、気胸の原因になりうるためです
飲酒傷が落ち着くまで(1週間程度)は、控えることをお勧めします。飲んでもかまいませんが、血流がよくなり、痛みや傷の赤みが強くなることがあります
喫煙喫煙は肺気腫のリスクになるため、これを機に禁煙することをお勧めします
性生活制限はありませんが、2週間程度は避けるのが望ましいです。痛みのない範囲で
便通とくに気をつけることはありません
痛みの経過3〜4日目以降に和らいでいくことが多いです
腫れ・違和感とくに長引くものはありません
術後の診察通常2回程度(レントゲンで肺の状態を確認します)
休薬した薬の再開休薬した薬(血液をサラサラにする薬など)の再開は、麻酔科医が手術前に個別にご案内します

手術のあとの症状と、連絡の目安

正常な経過として前もってお伝えしておくもの
症状経過
胸の違和感しばらく続くことがあります
微熱37.5℃以下であれば様子をみて大丈夫です

すぐに当院へ連絡していただきたい症状:息苦しさ。時間帯を問わずLINEまたは電話でご連絡ください。

術後の回復ロードマップ経過当日翌日1週2週1ヶ月3ヶ月活動・動作シャワー×○○○○○デスクワーク×△○○○○入浴××○○○○飲酒××△○○○軽い運動××××○○本格運動××××△○○可能△注意して可能×控えてください

← 横にスクロールできます →

手術に関するよくある質問

Q1. 術後の再発率はどのくらいですか?

胸腔鏡下ブラ切除術の後の再発率は、約2〜5%です。保存療法の後の再発率は30〜50%で、それと比べると大幅に低くなります。再発を防ぐため、確認できるブラはすべて切除します。必要に応じて、癒着術(胸膜の処理)も追加します。

Q2. 術後の痛みはどの程度ですか?

胸腔鏡手術は傷が小さいため、開胸手術に比べて術後の痛みは軽めです。多くの方は、処方される痛み止めの飲み薬で痛みを抑えられます。術後数日間は、深呼吸や咳のときに痛みが強くなります。ただし、日常生活に支障が出るほどの痛みではない場合がほとんどです。通常、術後1〜2週間で痛みは大きく和らぎます。

Q3. 手術後、運動や飛行機の搭乗はいつから可能ですか?

散歩は手術翌日から可能です。無理なくできる状態になれば、軽い運動を再開できます。

筋トレやランニングなど強めの運動は、術後4週間程度を目安にしてください。飛行機の搭乗は、術後2週間ごろを目安にしています。

術後1週間ごろの受診の胸部X線で肺が広がっていることを確認し、その確認から7日以上あけた時期です(急ぎでなければ4週間あけるとより安心です。航空会社によっては胸部手術後14日以内の搭乗に診断書が必要です)。

スキューバダイビングは、原則として再開しないことをお勧めします。反対側の肺にもブラがあると、気胸の原因になりうるためです。

Q4. 手術費用は保険適用ですか?

はい、気胸の手術は健康保険が使える手術です。当院の保険診療開始(2027年1月5日予定)後は、保険診療の3割負担で約8〜12万円が目安となる見込みです。高額療養費制度を使えば、負担は所得に応じた自己負担限度額までで済みます。入院手術と違い、入院費用(差額ベッド代・食事代など)がかかりません。そのため、自己負担が軽くなります。

Q5. 日帰り手術ができない場合はありますか?

以下の場合は、入院での手術をお勧めすることがあります。高度な肺虚脱(肺が大きくしぼんだ状態)が続いている場合、血気胸を伴う場合、両側同時気胸の場合、重篤な基礎疾患(COPDなど)がある場合、術中に高度な癒着が確認された場合などです。

日帰りで安全に実施できるかは、術前検査の結果を踏まえて慎重に判断いたします。日帰り手術が適さない場合は、連携医療機関をご紹介いたします。

参考文献

参考文献(5件)を読む
  1. MacDuff A, Arnold A, Harvey J; BTS Pleural Disease Guideline Group. Management of spontaneous pneumothorax: British Thoracic Society Pleural Disease Guideline 2010. Thorax. 2010;65 Suppl 2:ii18-ii31. doi:10.1136/thx.2010.136986 (PMID: 20696690)
  2. Tschopp JM, Bintcliffe O, Astoul P, et al. ERS task force statement: diagnosis and treatment of primary spontaneous pneumothorax. Eur Respir J. 2015;46(2):321-335. doi:10.1183/09031936.00219214 (PMID: 26113675)
  3. Barker A, Maratos EC, Edmonds L, Lim E. Recurrence rates of video-assisted thoracoscopic versus open surgery in the prevention of recurrent pneumothoraces: a systematic review of randomised and non-randomised trials. Lancet. 2007;370(9584):329-335. doi:10.1016/S0140-6736(07)61163-5 (PMID: 17662881)
  4. Bense L, Eklund G, Wiman LG. Smoking and the increased risk of contracting spontaneous pneumothorax. Chest. 1987;92(6):1009-1012. doi:10.1378/chest.92.6.1009 (PMID: 3677805)
  5. 日本気胸・嚢胞性肺疾患学会. 気胸の診断と治療に関するガイドライン. 2022.

→ 日帰り手術の対象疾患一覧に戻る

気胸の症状でお悩みの方は、吉祥寺日帰り手術クリニック(吉祥寺駅徒歩2分)にご相談ください。外科専門医と麻酔科専門医が連携し、安全な日帰り手術を提供する予定です。

ご相談・ご予約

当院は2026年12月開設・2027年1月5日 保険診療開始予定です。手術に関するご相談・ご予約の受付開始時期は、下記の受付状況ページでご案内します。

図1の参考資料:NHS:Pneumothorax (Collapsed Lung)(2026年9月10日確認)

吉祥寺日帰り手術クリニック

〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-5 大隅ビル 2階

2026年12月開設
2027年1月5日 保険診療開始予定

診療時間(2027年1月5日 保険診療開始予定)
診療時間月火水木金土日
10:00〜17:00休●●●●●休
休診日:月曜・日曜 / 祝日も診療(年末年始・ゴールデンウィーク・お盆は休診) / 昼休みなし・完全予約制
吉祥寺駅周辺の地図。吉祥寺日帰り手術クリニックは吉祥寺駅の北西、西一条通り沿いにあります
初診案内 WEB予約
初診案内 WEB
予約
アクセス