直腸脱
直腸脱は、全身状態が安定している場合に、吉祥寺日帰り手術クリニック(2026年12月開設)で日帰りの腹腔鏡下直腸固定術ができる予定です。
持病の状態などにより、入院での対応が必要と判断される場合があります。
この手術のポイント
- 手術時間
- 約60〜90分
- 滞在時間
- 来院から帰宅まで 約2.5〜3.5時間(目安)
- 麻酔
- 全身麻酔(麻酔科専門医が管理)
- 入院
- 不要(術後約60分で帰宅)
- 傷
- 3〜12mm × 3〜4箇所(腹腔鏡手術)
- 社会復帰
- デスクワークは状態がよければ翌日から検討。体を使う仕事は負荷により相談(重い物は1〜2週間程度が目安)
- 費用
- 3割負担で約8〜15万円(保険適用・高額療養費制度利用可)
数値は一般的な目安で、当院の診療実績ではありません。保険診療開始後の見込みです。帰宅・復帰の時期は、術後の状態により異なります。
直腸脱は、直腸(大腸の最後の部分)が裏返るようにして、肛門の外に出てくる病気です。「完全直腸脱」は、直腸の壁のすべての層が肛門の外に出た状態です。
出てきた直腸には、同心円状の粘膜のひだ(ロゼット状)が見られるのが特徴です。一般に高齢の女性に多く、発症のピークは70〜80代です。
患者さん全体の約80〜90%が女性です。これには、出産による骨盤底筋群の損傷や、加齢で体を支える組織が弱くなることが関係しています。超高齢社会の日本では、増加傾向にある病気です。
直腸脱が起こる主な原因は、骨盤底で直腸を支える組織(挙肛筋、骨盤底筋膜)が弱くなることです。正常では、直腸は仙骨の前にある靭帯(Waldeyer筋膜)や骨盤底筋群で固定されています。
しかし、長年の排便時のいきみ、多産、加齢、結合組織の弱さなどで、この支えが失われることがあります。すると、直腸が肛門の外に出るようになります。
また、直腸脱の患者さんの約50〜75%に、何らかの便失禁がみられると報告されています(PMID: 28991074)。直腸脱は、排便機能の障害と深く関係する病気です。
初めのうちは、排便時だけ直腸が出て、自然に戻ります。進行すると、歩いているときや、咳・くしゃみなど軽くおなかに力がかかるだけでも出るようになります。
最終的には、いつも出たままの状態になります。出た直腸の粘膜からの出血、粘液による下着の汚れ、便失禁や排便困難などにより、日常生活の質(QOL)が大きく下がります。
高齢の方は「歳のせい」とあきらめてしまいがちです。しかし、手術で症状を大きく改善できる可能性があります。
直腸脱を根本から治す治療は、手術です。手術の方法は、大きく「経腹的アプローチ(おなか側から行う方法)」と「経会陰的アプローチ(肛門側から行う方法)」に分かれます。
経腹的アプローチ(直腸固定術:rectopexy)は、再発率が低い(5%以下)方法です。腹腔鏡を使って、体への負担を小さくする工夫も進んでいます。
経会陰的アプローチ(Delorme法、Altemeier法)は、全身麻酔が難しい超高齢の方に選ばれます。ただし、再発率はやや高い(10〜30%)とされています。
国際的には、全身状態が許す限り、腹腔鏡下直腸固定術が勧められています(PMID: 28991074)。高齢の方でも、腹腔鏡手術の安全性が報告されています。
吉祥寺日帰り手術クリニックでは、腹腔鏡下直腸固定術による日帰り手術を提供する予定です。ご高齢の方やご家族の方も、安心してご相談ください。
足の付け根から出る「脱腸」をお探しの方へ
「脱腸」は足の付け根から腸が出る鼠径ヘルニアの俗称として使われることが多い言葉です。このページで解説している直腸脱とは、別の病気です。足の付け根の膨らみでお困りの場合は脱腸(鼠径ヘルニア)の解説、手術については鼠径ヘルニアの日帰り手術をご覧ください。
直腸脱について

直腸脱は、直腸が肛門から外へ反転して出た状態です。[図1]
AI生成の模式図です。白い輪は肛門部を単純化した表現で、骨や器具ではありません。正常と疾患の構造の比較で、治療前後の写真ではありません。
直腸脱にはどのような分類がありますか?
直腸脱は脱出の程度により3段階に分類されます。
| 分類 | 状態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 完全直腸脱 | 直腸壁全層が肛門外に脱出 | 進行した状態。常時脱出することもある |
| 不完全直腸脱(粘膜脱) | 直腸粘膜のみが脱出 | 初期の状態。出血や違和感が主な症状 |
| 内套(ないとう)直腸脱 | 直腸が腸管内で折りたたまれるが外に出ない | 便秘・残便感の原因になることがある |
直腸脱にはどのような症状がありますか?
- 脱出感: 排便時や立ち上がった際に、肛門から何かが出てくる感覚
- 出血・粘液分泌: 脱出した粘膜が擦れることで出血や粘液が生じる
- 便失禁: 肛門括約筋の機能が低下し、便やガスが漏れる
- 便秘・残便感: 直腸の機能低下により排便困難が生じる
- 肛門周囲の湿疹・かゆみ: 粘液分泌による皮膚炎
直腸脱の原因は何ですか?
直腸脱は、直腸を支える靭帯や骨盤底の筋肉が弱くなることで起こります。
- 加齢: 骨盤底の筋肉・靭帯のゆるみ(弛緩)。80歳以上の女性に最も多い
- 女性: 骨盤の構造的な特徴と出産による骨盤底の損傷
- 出産歴: 経膣分娩による骨盤底筋の損傷
- 慢性的な排便困難: 長時間のいきみによる骨盤底への負担
- 慢性下痢: 繰り返す下痢による直腸粘膜の弛緩
- 神経・筋疾患: パーキンソン病や二分脊椎など骨盤底機能に影響する疾患
直腸脱に関するよくある質問
Q1. 直腸脱は高齢でなければ手術できませんか?
直腸脱は高齢の女性に多い病気ですが、若い方や男性にも起こります。手術ができるかどうかは、年齢ではなく全身状態で判断します。
全身状態が良ければ、腹腔鏡下直腸固定術の日帰り手術ができる見込みです。高齢の方でも、全身状態が安定していれば手術の対象になります。
ただし、心臓・呼吸器などに重い病気がある場合は、手術前に専門的な評価が必要です。受診時にくわしくご相談ください。
Q2. 受診前に準備することはありますか?
受診の際は、次の内容をメモしてお持ちいただくとスムーズです。症状が始まった時期、脱出の頻度、出血や便失禁の有無、ふだん飲んでいる薬の一覧です。
直腸脱はデリケートな部位の病気ですが、医師・スタッフは診察に慣れています。遠慮なくご相談ください。
症状を我慢して放置すると、直腸の粘膜の傷みや、括約筋(肛門を締める筋肉)の働きの低下が進みます。早めの受診をお勧めします。
直腸脱手術の変遷 ― 「体への負担」と「再発」のせめぎ合い
直腸脱の手術には、120年余りの歴史があります。その歴史は、「体への負担を抑えること」と「再発を防ぐこと」のどちらを優先するかの、せめぎ合いでした。
手術の歴史・術式の変化を見る
各世代は、前の世代が「残した課題」を解くかたちで生まれています。色に加えて「問題/改良された点/残った課題」のラベルを付けています。
経会陰式(Delorme法)エドモン・ドロルム(フランス)
開腹に耐えられない方への治療法がなかった。
おなかを開けずに、肛門側から粘膜を切り取り、筋肉の層を縫い縮める方法です。体への負担が小さく、全身状態が良くない方にも行えます。
直腸を固定しないため再発が起こりやすい。
経腹式・前方スリング固定(Ripstein法)リプスタイン
経会陰式では再発が避けられなかった。
おなかから直腸を引き上げて、仙骨(骨盤の後ろ側の骨)に固定する。再発が大きく減少した。
開腹が必要で、体への負担が大きい。直腸の周囲を広くはがすため、神経が傷つき便秘が悪化することがあった。
腹腔鏡下腹側メッシュ直腸固定術ドーレ ら(ベルギー)
開腹の負担と、神経損傷による排便障害が残っていた。
腹腔鏡で行う。はがす範囲を直腸の前側に限り、自律神経を温存。傷が小さく、再発率も従来法と同等と報告されています。
全身麻酔と気腹(おなかをガスでふくらませること)が必要。癒着が強い場合は、適応を慎重に判断する。
当院では、腹腔鏡下直腸固定術を行う予定です。年齢や全身状態によっては、経会陰式の手術が適している場合もあります。その場合は、連携医療機関をご紹介します。
当院の手術方法:腹腔鏡下直腸固定術
腹腔鏡下直腸固定術とは
腹腔鏡下直腸固定術は、腹腔鏡(細いカメラ)を使い、おなかの中から直腸を引き上げて、仙骨(骨盤後方の骨)に固定する手術です。直腸脱を根本から治す手術として、国際的なガイドラインでも推奨されています。経肛門的手術と比べて再発率が低いという、明確な根拠(エビデンス)があります。
手術の手順
- 腹部に3〜4箇所の小切開(3〜12mm)を行い、腹腔鏡と手術器具を挿入します
- 腹腔内から骨盤を観察し、弛緩した直腸周囲の靴帯・組織を確認します
- 直腸を適切な位置まで引き上げ、仙骨前面にしっかりと固定します(メッシュまたは縫合固定)
- 必要に応じて、直腸の冗長な部分を切除します(直腸切除固定術)
- 切開部を閉鎖して手術終了
術式の比較
腹腔鏡下直腸固定術と、経肛門的手術(体への負担が少ない)を比較します。
| 項目 | 腹腔鏡下直腸固定術(吉祥寺日帰り手術クリニック) | Delorme法 | Altemeier法 |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 腹腔内(腹腔鏡) | 肛門経由 | 肛門経由 |
| 切開 | 3〜12mm × 3〜4箇所 | 切開なし(経肛門) | 切開なし(経肛門) |
| 全身麻酔 | 必要 | 腰椎麻酔も可 | 腰椎麻酔も可 |
| 再発率 | 約2〜5% | 約10〜25% | 約5〜15% |
| 対象 | 全年齢(全身状態良好) | 高齢・全身状態不良の方 | 高齢・全身状態不良の方 |
| 便失禁改善 | 良好(約70%で改善) | 中程度 | 中程度 |
| 直腸機能温存 | 高い | 中程度 | やや低下することがある |
腹腔鏡下直腸固定術は、経肛門的手術と比べて再発率が有意に低いことが報告されています。これは、複数の無作為化比較試験で示されています(Tou S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015)。全身状態が良好な患者さんには、腹腔鏡手術が推奨されます。
腹腔鏡手術そのものの仕組みと当院の考え方は腹腔鏡手術とはで解説しています。日帰り手術全般のリスクと当院の備えは手術のリスク・合併症について、全身麻酔の安全管理は日帰り手術の麻酔についてにまとめています。
麻酔そのものへの不安については、全身麻酔の正体を3分で解説/麻酔中に意識が戻るって本当?/麻酔後によくある症状とそのケアもあわせてご覧ください。日帰りで手術を行うための設備・急変時の備え・連携医療機関については安全管理体制にまとめています。
入院手術と日帰り手術の比較
| 項目 | 入院手術(一般的な設備) | 日帰り手術(吉祥寺日帰り手術クリニック) |
|---|---|---|
| 入院期間 | 5〜10日 | なし(当日帰宅) |
| 手術方法 | 開腹または腹腔鏡 | 腹腔鏡手術 |
| 傷の大きさ | 開腹時は10〜15cm | 3〜12mm × 3〜4箇所 |
| 術後の痛み | 中程度〜強い | 軽度(鎮痛剤で管理可能) |
| 社会復帰 | 2〜4週間 | デスクワーク翌日〜数日 |
| 費用(保険診療・3割負担の場合) | 約20〜35万円(入院費含む) | 約8〜15万円 |
| 感染リスク | 院内感染のリスクあり | 自宅療養のため低い |
| 家族の負担 | 入院中の付き添い・面会 | 帰宅時の付き添いのみ |
日帰り手術では、入院費用(差額ベッド代・食事代など)がかかりません。そのため、自己負担が大幅に軽くなります。高額療養費制度を利用すれば、さらに負担を抑えられる場合があります。
手術の流れ
1. 初回来院(診察・検査)
外来で、問診と直腸診(指による診察)を行います。脱出の程度、粘膜の状態、肛門括約筋(肛門を締める筋肉)の働きを確認します。必要に応じて大腸内視鏡検査を行い、ほかの病気がないことを確認します。術前検査として、血液検査・心電図・胸部X線などを行います。麻酔科専門医が手術前の評価を行います。
初診のご予約方法・持ち物・当院までの道順は初めての方へとアクセス・診療時間をご覧ください。
2. 手術前日まで
手術前日の夜9時以降は、食事をとらないでください(絶食)。水分は、手術の2時間前までとれます。ふだん飲んでいる薬(とくに抗凝固薬・抗血小板薬)については、事前に指示をお伝えします。
3. 手術当日(来院〜術前準備)
午前中にご来院いただきます。体調の確認と最終説明のあと、手術着に着替えます。その後、点滴の管を入れます。麻酔科専門医が麻酔の最終確認を行い、生体監視装置を装着します。
4. 手術(60〜90分)
全身麻酔をかけ、腹腔鏡を使って直腸固定術を行います。手術中は、麻酔科専門医が全身の状態を管理します。呼吸・循環・体温を常に見守ります。
5. リカバリー(約60分)
手術後は、リカバリー室で麻酔から目が覚めたことを確認します。痛みの管理を行い、水を飲めること・歩けることを確認します。医師が術後の状態を評価し、帰宅できると判断した時点でご案内します。
6. 帰宅指導・帰宅
術後の注意事項(食事・排便・入浴・運動)、薬の飲み方、緊急時の連絡先をご説明します。帰宅時は、ご家族の付き添いか、タクシーの利用をお願いしています。手術当日の入浴は避けてください。シャワーは翌日から可能です。
7. 術後フォローアップ
術後1週間前後に、外来を受診していただきます。傷の状態、排便の状況、脱出の再発がないかを確認します。術後1ヶ月で最終評価を行います。問題がなければ、治療完了です。
日帰り手術の適応となる条件
当院で日帰り手術をお受けいただけるかどうかは、病気の状態だけで決めるものではありません。全身の状態と帰宅後の環境もあわせて判断する予定です。年齢だけで一律に判断することはありません。麻酔科専門医が手術前に評価します。日帰りが適切でないと判断した場合は、入院設備のある医療機関をご紹介します。
直腸脱で確認する条件
- 手術適応は年齢ではなく全身状態によって判断します。全身状態が安定していれば、高齢の方でも腹腔鏡下直腸固定術の日帰り手術ができる見込みです。
- 心臓・呼吸器などに重い病気がある場合は、術前に専門的な評価が必要です。
- 全身麻酔が難しい方や、年齢・全身状態によっては経会陰式の手術が適している場合があります。その際は連携医療機関をご紹介します。
- 過去の手術などで、おなかの中の癒着(臓器どうしがくっつくこと)が強い場合は、手術ができるかを慎重に判断します。
診察・術前検査で確認すること
- 病気の状態:直腸脱の程度(詳しくは上の「直腸脱で確認する条件」)
- 心臓・肺などの持病と、服用中のお薬(血液をサラサラにする薬を含む)
- これまでの麻酔・手術の経験と、そのときの体調
- 手術当日に帰宅して過ごせる環境があるか
入院での手術をご案内する場合
- 心臓や血管(動脈)の病気、肺の病気や重い喘息などの併存疾患がある方
- 重い睡眠時無呼吸症候群や著しい肥満がある方
- 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を休薬できない方
- 年齢や全身状態から、入院して全身麻酔の手術を受けるほうが適切と判断される方
帰宅後に必要な準備
- 手術当日は自動車・自転車・バイクの運転ができません(全身麻酔の影響が残るため)
- 帰宅後、少なくとも当日中はご家族などに付き添っていただくことをお勧めします
- 帰宅時にお渡しする緊急連絡先を確認し、いつでも連絡できるようにしておいてください
この病気に特有の考え方は、本ページの「入院手術と日帰り手術の比較」の項もご覧ください。日帰り手術の全体像は日帰り手術とはで詳しくご案内しています。手術前後の準備は手術前後の生活と注意点、麻酔については日帰り手術の麻酔についてをご覧ください。手術を受けられるかの最終判断は、初回診察・術前検査と麻酔科専門医の評価をふまえて行います。
手術のあとの生活の目安(項目別)
以下は、直腸脱(腹腔鏡下直腸固定術)の手術後に「いつから何ができるか」をまとめた当院の目安です。当院の外科医がふだんご説明している内容をもとにしています。
多くの項目には、はっきりした決まりがありません。そのため、痛みに合わせて少しずつ負荷を上げるなど、ご自身の体調を見て判断していただく部分もあります。
回復には個人差があります。実際の時期は、診察でお一人おひとりにお伝えします。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| シャワー | 翌日から(当日はお休みください) |
| 湯船・温泉・プール | 術後1週間ごろから(湯船・温泉・プールとも) |
| 傷のケア | 防水テープやガーゼは、3日を目安に外せます。傷が治る過程の炎症が落ち着く3日ごろまでは、とくに清潔に保ってください |
| 抜糸 | ありません |
| 痛み止め | 1週間分の決まった時間に飲む薬と、痛いときに追加で飲む薬を処方します。ほとんどの方は、約1〜2週間で薬が不要になります |
| 歩行 | 当日から可。制限はありません |
| 階段・立ち座り・前かがみ | 当日から可。制限はありません |
| 重い物を持つ | 1〜2週間程度が目安です |
| 家事・買い物・育児・介護 | 翌日から、無理のない範囲で |
| 軽い運動(ウォーキング・ストレッチ) | 無理なくできる状態になれば再開できます |
| 強めの運動(筋トレ・ランニング・球技・水泳) | 出血や痛みがおさまってから。腹圧がかかるため、目安は3〜4週間程度です |
| 自転車・車の運転 | 麻酔の翌日以降で、眠気の出る鎮痛薬を使っておらず、安全に急ブレーキが踏める状態になってから |
| 仕事(デスクワーク) | 状態がよければ翌日から検討できます |
| 仕事(立ち仕事・力仕事) | 状態がよければ、翌日から検討できます。ただし、仕事の負荷によって異なります。重い物を持つ作業の目安は、上の「重い物を持つ」をご覧ください |
| 出張・旅行・飛行機 | 麻酔の影響がなくなればさしつかえありません |
| 飲酒 | 傷が落ち着くまで(1週間程度)は、控えることをお勧めします。飲んでもかまいませんが、血流がよくなり、痛みや傷の赤みが強くなることがあります |
| 喫煙 | 制限はありませんが、傷が治るまで(1週間程度)は控えるのが望ましいです |
| 性生活 | 約4週間は控えてください(直腸や肛門周囲の手術のため) |
| 便通 | 便秘になることがあります。緩下剤や便秘薬を使います |
| 痛みの経過 | 3〜4日目以降に和らいでいくことが多いです |
| 腫れ・違和感 | 2〜4週間は出血や排便時の痛みが続くことがあります |
| 術後の診察 | 通常2回以上(便秘薬の処方もあります) |
| 休薬した薬の再開 | 休薬した薬(血液をサラサラにする薬など)の再開は、麻酔科医が手術前に個別にご案内します |
手術のあとの症状と、連絡の目安
| 症状 | 経過 |
|---|---|
| 肩の痛み | 腹腔鏡手術のあとに起こりやすく、3日程度続くことがあります |
| おなかの張り・便秘 | 麻酔と手術の影響で腸の動きが一時的に鈍ることがあります |
| おへその傷の痛み | 重い筋肉痛のような痛みで、日ごとに軽くなっていきます |
| 微熱 | 37.5℃以下であれば、術後の反応として様子をみて大丈夫です |
| 排便のときの出血・痛み | 2〜4週間ほど続くことがあります |
すぐに当院へ連絡していただきたい症状:下着まで染みるような出血/耐えられない痛み/38℃以上の発熱/傷の赤み・腫れ、膿が出る。時間帯を問わずLINEまたは電話でご連絡ください。
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手術に関するよくある質問
Q1. 便失禁は手術で改善しますか?
腹腔鏡下直腸固定術後、約70%の方で便失禁の改善が報告されています。直腸の位置が正常に戻ることで肛門括約筋への負担が軽減されるためです。
ただし、長年の直腸脱により括約筋機能が著しく低下している場合は、改善に時間がかかったり、骨盤底リハビリテーション(肛門括約筋訓練)が追加で必要になることがあります。手術前にしっかりと状態を評価したうえで、期待できる改善の程度をご説明します。
Q2. 再発する可能性はありますか?
腹腔鏡下直腸固定術の再発率は、約2〜5%と報告されています。これは、経肛門的手術(Delorme法:約10〜25%)と比べて有意に低いです。再発を防ぐには、術後の排便習慣を守ることが大切です。強くいきまないこと、便秘を防ぐことです。再発した場合でも、再手術ができます。症状がまた出てきたら、早めにご相談ください。
Q3. 手術後の排便はどうなりますか?
手術後しばらくは、排便のリズムが変わることがあります。直腸の位置が変わるため、術後数週間は便秘や頻便(便の回数が増えること)が一時的に起こる場合があります。多くは1〜2ヶ月で落ち着きます。術後は、水分を十分にとり、食物繊維を含む食事を心がけてください。便通が整いやすくなります。必要に応じて、緩下剤(便を出しやすくする薬)を処方します。
直腸脱手術の費用と入院期間
入院は不要です(日帰り手術)
当院の直腸脱手術(腹腔鏡下直腸固定術)は、入院不要の日帰り手術です。全身麻酔で手術を行います(手術時間約60〜90分)。
術後はリカバリー室で経過を観察し、当日にご帰宅いただけます。一般的な入院手術では、5〜10日程度入院する施設が多くあります。
当院は、麻酔科専門医の全身管理のもと、日帰りで対応する予定です。ただし、全身状態や併存疾患(ほかの持病)によっては、入院設備のある医療機関での手術をお勧めする場合があります。
手術費用の目安(保険適用)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用の目安 | 約8〜15万円(3割負担) |
| 保険適用 | 健康保険の適用対象です |
| 高額療養費制度 | 所得区分に応じて、自己負担額をさらに抑えられる場合があります |
費用は術式・処置内容により異なります。詳しくは診察時にご説明いたします。
Q. 直腸脱の手術に入院は必要ですか?
当院では腹腔鏡下直腸固定術を日帰りで行っており、入院は不要です。術後約60分の経過観察ののち、当日にご帰宅いただけます。ただし、全身状態によっては入院手術をお勧めする場合があります。
Q. 直腸脱の手術費用はいくらですか?
健康保険が使えます。3割負担の場合、約8〜15万円が目安です。金額は、術式・処置内容によって異なります。高額療養費制度を利用すると、自己負担額をさらに抑えられる場合があります。
費用の全体像は費用・保険のご案内、自己負担の上限については高額療養費制度をご覧ください(いずれも保険診療の場合の目安です)。
参考文献
参考文献(4件)を読む
- Tou S, Brown SR, Nelson RL. Surgery for complete (full-thickness) rectal prolapse in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(11):CD001758. doi:10.1002/14651858.CD001758.pub3 (PMID: 26599079)
- Bordeianou L, Paquette I, Johnson E, et al. Clinical Practice Guidelines for the Treatment of Rectal Prolapse. Dis Colon Rectum. 2017;60(11):1121-1131. doi:10.1097/DCR.0000000000000889 (PMID: 28991074)
- 大腸癌研究会(編). 大腸疾患治療ガイドライン. 金原出版; 2022.
- D’Hoore A, Cadoni R, Penninckx F. Long-term outcome of laparoscopic ventral rectopexy for total rectal prolapse. Br J Surg. 2004;91(11):1500-1505.
直腸脱の症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。「恥ずかしくて相談しにくい」と感じる方にも、外科専門医・麻酔科専門医がていねいに対応します。日帰り手術により、入院せずに根本的な治療を受けていただけます。
吉祥寺日帰り手術クリニックで対応予定の日帰り手術
ご相談・ご予約
当院は2026年12月開設・2027年1月5日 保険診療開始予定です。手術に関するご相談・ご予約の受付開始時期は、下記の受付状況ページでご案内します。
図1の参考資料:ASCRS:Rectal Prolapse(2026年9月10日確認)