足の付け根から出る「脱腸」をお探しの方へ
「脱腸」は、多くの場合足の付け根から腸が出る鼠径ヘルニアの俗称として使われます。このページで解説している腹壁瘢痕ヘルニアとは、別の病気です。足の付け根の膨らみでお困りの場合は、脱腸(鼠径ヘルニア)の解説をご覧ください。手術については、鼠径ヘルニアの日帰り手術をご覧ください。
腹壁瘢痕ヘルニアとは(術後ヘルニア)
腹壁瘢痕ヘルニア(手術の傷あとから生じるヘルニア)は、小〜中サイズであれば、吉祥寺日帰り手術クリニック(2026年12月開設)で日帰り手術ができる予定です。
欠損が大きい場合(目安10cm以上)や癒着が強い場合は、入院での手術をおすすめすることがあります。
この手術のポイント
- 手術時間
- 約45〜90分(サイズ・術式による)
- 滞在時間
- 来院から帰宅まで 約2.5〜3.5時間(目安)
- 麻酔
- 全身麻酔(麻酔科専門医が管理)
- 入院
- 小~中サイズは不要(術後約60分で帰宅)。大きなヘルニアは入院が必要な場合あり
- 傷
- 3〜12mm × 3〜4箇所(腹腔鏡手術)
- 社会復帰
- デスクワークは状態がよければ翌日から検討。体を使う仕事は負荷により相談(重い物を持つ作業は3〜4週間程度が目安)
- 費用
- 3割負担で約6〜12万円(保険適用・高額療養費制度利用可)
数値は一般的な目安で、当院の診療実績ではありません。保険診療開始後の見込みです。帰宅・復帰の時期は、術後の状態により異なります。
腹壁瘢痕ヘルニア(incisional hernia)は、過去に受けた開腹手術の傷跡(瘢痕)から起こる病気です。傷跡の部分から、腸管や大網(腹腔内の脂肪組織)が体表側に脱出します。
腹壁瘢痕ヘルニアは、開腹手術後の長期合併症として最も頻度が高いものです。開腹手術を受けた患者の約10〜23%に発生するとされています(Mudge M, Hughes LE. Br J Surg. 1985; PMID: 3155634)。
発症の多くは、術後1〜3年以内です。ただし、術後10年以上たってから顕在化する(はっきり現れる)症例もあります。
自然に治ることはありません。時間の経過とともに、徐々に大きくなる傾向があります。
嵌頓(かんとん:腸が挟まって戻らなくなること)のリスクもあります。そのため、症状のあるヘルニアには手術が推奨されます。
特に、欠損孔(腹壁の穴)が小さいヘルニアほど、嵌頓のリスクが高いとされています。
吉祥寺日帰り手術クリニックでは、腹腔鏡を用いた腹壁ヘルニア修復術を、日帰り手術で提供する予定です。体への負担が少ない(低侵襲な)方法です。ただし、ヘルニアのサイズや患者さんの状態によっては、入院手術が適切な場合もあります。診察時に詳しくご説明いたします。
腹壁瘢痕ヘルニアについて
腹壁瘢痕ヘルニアにはどのような症状がありますか?
腹壁瘢痕ヘルニアの主な症状は以下のとおりです。
- 手術跡のふくらみ:過去の開腹手術の傷跡に沿って、皮膚の下にふくらみ(膨隆)が現れます。立っているときや、お腹に力が入ったとき(咳・くしゃみ・力み・重いものを持つとき)に目立ちます
- 横になると消える:仰臥位で腹筋の緊張がとけると、脱出していた腸管や脂肪が腹腔内に戻り、ふくらみが消失または縮小します
- 痛みや違和感:ヘルニア部位に、鈍い痛み、つっぱり感、重苦しさを感じることがあります。長く立っていた後や、体を動かす作業の後に悪化する傾向があります
- ふくらみの増大:ヘルニアは自然には治りません。時間の経過とともに、徐々に大きくなります。放置すると、手術が難しくなります。そのため、早めの受診が推奨されます
- 嵌頓症状(緊急):ヘルニアが戻らなくなり(嵌頓)、激しい痛み・嘔吐・腹部膨満が出現した場合は緊急手術が必要です
原因・リスク因子は何ですか?
腹壁瘢痕ヘルニアの直接的な原因は、開腹手術で切開した腹壁の筋膜・腱膜が十分に治らないことです。その弱くなった部分から、腹腔内容物(腸や脂肪など)が脱出します。以下のリスク因子が知られています。
| リスク因子 | 詳細 |
|---|---|
| 術後の創感染 | 手術部位感染(SSI)は最大のリスク因子です。感染すると、筋膜の治癒が妨げられます |
| 肥満(BMI>30) | 腹壁への持続的な圧力増加と創傷治癒の遅延 |
| 正中切開 | 横切開や腹腔鏡手術と比較してリスクが高い |
| 糖尿病 | 創傷治癒の遅延・感染リスクの増加 |
| ステロイド使用 | 免疫抑制・創傷治癒の阻害 |
| 慢性咳嗽・便秘 | 腹圧の反復的な上昇 |
| 高齢 | 組織の弾力性低下・治癒力の減弱 |
| 栄養不良 | コラーゲン合成に必要な栄養素の不足 |
| 喫煙 | 微小血管の血流障害・組織酸素化の低下 |
どのような手術の後に起こりますか?
腹壁瘢痕ヘルニアは、あらゆる開腹手術の後に起こりえます。特に頻度が高い先行手術は以下のとおりです。
| 先行手術 | 切開位置 | 瘢痕ヘルニア発生率 |
|---|---|---|
| 大腸手術(結腸切除等) | 正中切開 | 10〜20% |
| 胃切除術 | 上腹部正中切開 | 10〜15% |
| 子宮摘出術 | 下腹部正中・横切開 | 5〜10% |
| 帝王切開 | 下腹部横切開 | 3〜5% |
| 虫垂切除術(開腹) | 右下腹部斜切開 | 2〜5% |
| 胆嚢摘出術(開腹) | 右肋骨下切開 | 3〜8% |
| 腹腔鏡手術のポート孔 | 臍周囲等の小切開 | 0.5〜2% |
正中切開(腹部の中央を縦に切開する方法)は、横切開と比較して瘢痕ヘルニアの発生率が高いことが知られています。腹腔鏡手術の普及により、瘢痕ヘルニア全体の発生率は減少傾向にあります。
腹壁瘢痕ヘルニアに関するよくある質問
Q1. 腹壁瘢痕ヘルニアを放置するとどうなりますか?
腹壁瘢痕ヘルニアは、自然に治ることはありません。放置すると、ヘルニアの欠損孔(腹壁の穴)が徐々に広がります。
脱出する腸管や脂肪の量も増えます。大きくなるほど手術が難しくなり、再発率も高くなります。
また、嵌頓(腸管がヘルニア門に挟まって戻らなくなること)が起こると、腸閉塞や腸壊死につながり、緊急手術が必要となる場合があります。症状に気づいたら、早めの受診をお勧めします。
Q2. どのくらいの大きさまで日帰り手術が可能ですか?
吉祥寺日帰り手術クリニックでは、小~中サイズのヘルニアを日帰り手術の主な対象としています。目安は、ヘルニアの欠損径(腹壁の穴の大きさ)が概ね10cm未満です。
欠損径が大きいヘルニア(目安として10cm以上)、腸管の癒着が強い場合、複数の基礎疾患がある場合などは、入院での管理が安全です。そのため、専門施設への紹介が必要となることがあります。
ヘルニアのサイズや状態は、診察と画像検査で正確に評価いたします。まずはご相談ください。
腹壁瘢痕ヘルニア手術の変遷 ― 弱った腹壁をどう補強してきたか
腹壁瘢痕ヘルニアは、過去の手術の傷が弱くなって起こります。もともと弱った腹壁をどう補強するかが、この手術の歴史そのものでした。
手術の歴史・術式の変化を見る
各世代は、前の世代が「残した課題」を解くかたちで生まれています。色に加えて「問題/改良された点/残った課題」のラベルを付けています。
単純縫合
手術の傷が弱くなって膨らむ状態に、確立した対処法がなかった。
弱った筋膜を縫い合わせて閉じる方法が行われた。
もともと弱った組織を引き寄せて縫うため再発が非常に多かった。
腹直筋後面へのメッシュ留置(Rives-Stoppa法)リヴ/ストッパ(フランス)
単純縫合では再発を防げなかった。
腹直筋の裏側にメッシュを敷き、腹圧がメッシュを押しつける形で補強する。再発率が大きく下がり、現在も基準となる術式です。
広い範囲を剥離するため切開が大きく、回復に時間がかかる。
腹腔鏡下修復(IPOM)ルブラン ら(アメリカ)
切開が大きく、創部の感染などが問題だった。
おなかの内側から直接メッシュを当てる。傷が小さく創部トラブルが減り、回復も早い。
全身麻酔と気腹(おなかをガスでふくらませること)が必要。過去の手術による癒着の程度で適応が変わる。
当院では腹腔鏡下の修復を予定しています。ヘルニアが大きい場合や癒着が強い場合は、入院設備のある医療機関をご紹介します。
当院の手術方法: 腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術
腹腔鏡下修復術(IPOM法・TEP法)とは
腹腔鏡(カメラ)を用いて腹壁瘢痕ヘルニアを修復する術式です。代表的なアプローチとして、腹腔内からメッシュ(人工補強材)を留置するIPOM法(Intraperitoneal Onlay Mesh)と、腹膜外腔を作成してメッシュを留置するeTEP法(extended Totally Extraperitoneal)があります。吉祥寺日帰り手術クリニックでは、ヘルニアの位置・サイズ・前回手術歴などに応じて最適な術式を選択します。
手術の手順
- 腹部に3〜4箇所の小切開(3〜12mm)を行い、腹腔鏡と手術器具を挿入します
- 腹腔内を観察し、ヘルニアの位置・大きさ・癒着の状態を確認します
- 癒着剥離を行い、前回手術による腸管と腹壁の癒着を丁寧に処理します
- ヘルニア内容物を還納し、腹腔内に引き戻します
- ヘルニア門(腹壁の穴)の処理を行い、欠損部を確認します
- メッシュを留置し、ヘルニア門を含む腹壁の弱化した範囲を広く覆います
- メッシュを固定(タッカーや縫合糸を使用)し、術野を閉鎖します
腹腔鏡下修復術の利点
- 傷が小さいため術後の疼痛が少なく、早期回復が可能
- 腹腔鏡により腹腔内全体を直視でき、見落としや副損傷が少ない
- 既存の瘢痕を切開しないため、再度の創感染リスクが低い
- メッシュを用いた修復により再発率が低い(約3〜5%)
- 整容性に優れ、体表の瘢痕が目立たない
- 多発ヘルニアや他部位のヘルニアを同時に発見・修復できる
術式比較表
| 項目 | 腹腔鏡下修復術(吉祥寺日帰り手術クリニック) | 開腹修復術 |
|---|---|---|
| 切開 | 3〜12mm × 3〜4箇所 | 既存瘢痕に沿った大きな切開(10〜20cm) |
| 術後の痛み | 軽度〜中程度 | 中程度〜強い |
| 入院期間 | 小~中サイズは不要(当日帰宅) | 数日〜1週間程度 |
| 社会復帰 | デスクワーク翌日〜数日 | 1〜2週間 |
| 創感染リスク | 低い(既存瘢痕を切開しない) | 高い(瘢痕部を再切開) |
| 再発率 | 約3〜5% | 約5〜10%(メッシュなし修復時は20〜30%) |
| 大型ヘルニアへの対応 | 中サイズまで適応 | 大型ヘルニアにも対応可 |
European Hernia Society(EHS)のガイドラインでは、小~中サイズの腹壁瘢痕ヘルニアに対して腹腔鏡下修復術が適応となる術式とされています(Muysoms et al., 2015; PMID: 25618025)。
重要: 次のような場合は、腹腔鏡手術が困難なことがあります。欠損径が大きいヘルニア(目安として10cm以上)、複数の合併症がある場合、腸管癒着が強い場合などです。その場合は、開腹手術や専門施設への紹介が必要となることがあります。診察にてご相談ください。
腹腔鏡手術そのものの仕組みと当院の考え方は腹腔鏡手術とはで解説しています。日帰り手術全般のリスクと当院の備えは手術のリスク・合併症について、全身麻酔の安全管理は日帰り手術の麻酔についてにまとめています。
麻酔そのものへの不安については、全身麻酔の正体を3分で解説/麻酔中に意識が戻るって本当?/麻酔後によくある症状とそのケアもあわせてご覧ください。日帰りで手術を行うための設備・急変時の備え・連携医療機関については安全管理体制にまとめています。
入院手術と日帰り手術の比較
| 項目 | 入院手術 | 日帰り手術(吉祥寺日帰り手術クリニック) |
|---|---|---|
| 入院期間 | 3〜7日 | なし(術後当日帰宅)※適応内の場合 |
| 手術方法 | 開腹・腹腔鏡 | 腹腔鏡手術(IPOM法・TEP法) |
| 傷の大きさ | 10〜20cm(既存瘢痕の再切開) | 3〜12mm × 3〜4箇所 |
| 術後の痛み | 中程度〜強い | 軽度〜中程度(鎮痛剤で管理可能) |
| 社会復帰 | 1〜2週間 | デスクワーク翌日〜数日 |
| 費用(保険診療・3割負担の場合) | 約15〜25万円 | 約6〜12万円 |
| 再発率 | 約5〜10%(開腹) | 約3〜5%(腹腔鏡メッシュ修復) |
| 家族の対応 | 入院中の継続的サポート | 帰宅時の付き添いのみ |
日帰り手術は小~中サイズのヘルニアが対象です。入院費用がかからないため、適応例では自己負担額が大幅に軽減されます。
手術の流れ
1. 初回来院(診察・検査)
外来で診察を行います。前回の手術歴と現在の症状を詳しくお聞きし、ヘルニアの位置・大きさを確認します。
腹部CT検査で、ヘルニアの欠損径・内容物・癒着の程度を評価します。その結果から、日帰り手術の適応を判断します。
術前検査として、血液検査・心電図・胸部X線等を実施します。麻酔科専門医による術前評価も行います。手術日を決定し、術前の注意事項をご説明します。
初診のご予約方法・持ち物・当院までの道順は初めての方へとアクセス・診療時間をご覧ください。
2. 手術当日朝(来院)
手術当日の朝にご来院いただきます。前日の食事制限をお守りください。夜9時以降は絶食です。水分は手術二時間前まで可能です。来院後、体調確認と手術の最終説明を行います。
3. 術前準備(約30分)
手術着に着替え、点滴ルートを確保します。麻酔科専門医が麻酔の最終確認を行います。血圧・心電図・酸素飽和度のモニタリングを開始します。
4. 手術(45〜90分)
全身麻酔下で、腹腔鏡を用いた修復術を行います。術中の全身管理は、麻酔科専門医が担当します。生体監視装置で、呼吸・循環を常時モニタリングします。前回手術による癒着を処理した上で、メッシュによる修復を行います。
5. リカバリー(約60分)
手術後、リカバリー室で覚醒と回復の経過を観察します。痛みの管理を行い、飲水・歩行が可能であることを確認します。術後の状態が安定していることを医師が判断します。
6. 帰宅指導・帰宅
術後の注意事項、服薬方法、緊急時の連絡先をご説明します。帰宅時はご家族による付き添いまたはタクシーの利用をお願いしています。当日の入浴は避け、翌日からシャワーが可能です。
7. 術後フォロー
術後の診察は、通常1回を予定しています。オンラインでの診察も選択肢となる予定です。創部(傷の部分)の状態を確認し、必要に応じて追加の指導や診察をご案内します。
日帰り手術の適応となる条件
当院で日帰り手術をお受けいただけるかどうかは、病気の状態だけで決めるものではありません。全身の状態と帰宅後の環境もあわせて判断する予定です。年齢だけで一律に判断することはありません。麻酔科専門医が手術前に評価します。日帰りが適切でないと判断した場合は、入院設備のある医療機関をご紹介します。
腹壁瘢痕ヘルニアで確認する条件
- 日帰り手術の主な対象は、欠損径(おなかの壁の穴の大きさ)が概ね10cm未満の小〜中サイズのヘルニアです。腹部CT検査で、ヘルニアの欠損径・内容物・癒着の程度を調べます。その結果をもとに判断します。
- 次の場合は、入院での管理が安全です。欠損径が大きいヘルニア(目安として10cm以上)、腸管の癒着が強い場合、複数の基礎疾患がある場合です。このような場合は、入院設備のある医療機関をご紹介します。
- ヘルニアが戻らなくなり、激しい痛み・嘔吐・腹部膨満(おなかの張り)が出た場合は、嵌頓(かんとん)という状態です。この場合は緊急手術が必要です。予定を立てて行う日帰り手術の対象ではありません。
- 診察では、再発のリスク因子を確認します。前回手術の術式、創感染(傷の感染)の有無、肥満(BMI>30)、糖尿病、ステロイド使用、慢性的な咳・便秘、喫煙などです。
診察・術前検査で確認すること
- 病気の状態:ヘルニアの大きさと、以前の手術創の状態(詳しくは上の「腹壁瘢痕ヘルニアで確認する条件」)
- 心臓・肺などの持病と、服用中のお薬(血液をサラサラにする薬を含む)
- これまでの麻酔・手術の経験と、そのときの体調
- 手術当日に帰宅して過ごせる環境があるか
入院での手術をご案内する場合
- 心臓や血管(動脈)の病気、肺の病気や重い喘息などの併存疾患がある方
- 重い睡眠時無呼吸症候群や著しい肥満がある方
- 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を休薬できない方
- 年齢や全身状態から、入院して全身麻酔の手術を受けるほうが適切と判断される方
帰宅後に必要な準備
- 手術当日は自動車・自転車・バイクの運転ができません(全身麻酔の影響が残るため)
- 帰宅後、少なくとも当日中はご家族などに付き添っていただくことをお勧めします
- 帰宅時にお渡しする緊急連絡先を確認し、いつでも連絡できるようにしておいてください
この病気に特有の考え方は、本ページの「入院手術と日帰り手術の比較」の項もご覧ください。日帰り手術の全体像は日帰り手術とはで詳しくご案内しています。手術前後の準備は手術前後の生活と注意点、麻酔については日帰り手術の麻酔についてをご覧ください。手術を受けられるかの最終判断は、初回診察・術前検査と麻酔科専門医の評価をふまえて行います。
手術のあとの生活の目安(項目別)
以下は、腹壁瘢痕ヘルニアの手術のあとに「いつから何ができるか」をまとめた当院の目安です。当院の外科医が通常ご説明している内容をもとにしています。
明確な決まりがない項目も多くあります。痛みに応じて少しずつ負荷を上げるなど、ご自身の体調に合わせて判断していただく部分もあります。
回復には個人差があります。実際の時期は、診察でお一人おひとりにお伝えします。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| シャワー | 翌日から(当日はお休みください) |
| 湯船・温泉・プール | 術後1週間ごろから(湯船・温泉・プールとも) |
| 傷のケア | 防水テープやガーゼは、3日を目安に外せます。傷が治る過程の炎症が落ち着く3日ごろまでは、とくに清潔に保ってください |
| 抜糸 | ありません |
| 痛み止め | 1週間分の決まった時間に飲む薬と、痛いときに追加で飲む薬を処方します。ほとんどの方は、約1〜2週間で薬が不要になります |
| 歩行 | 当日から可。制限はありません |
| 階段・立ち座り・前かがみ | 当日から可。制限はありません |
| 重い物を持つ | 3〜4週間程度が目安です |
| 家事・買い物・育児・介護 | 翌日から、無理のない範囲で |
| 軽い運動(ウォーキング・ストレッチ) | 無理なくできる状態になれば再開できます |
| 強めの運動(筋トレ・ランニング・球技・水泳) | 目安は3週間程度です。ただし一律の日数は設けず、個別にご案内します |
| 自転車・車の運転 | 麻酔の翌日以降で、眠気の出る鎮痛薬を使っておらず、安全に急ブレーキが踏める状態になってから |
| 仕事(デスクワーク) | 状態がよければ翌日から検討できます |
| 仕事(立ち仕事・力仕事) | 状態がよければ、翌日から検討できます。ただし、仕事の負荷によって異なります。重い物を持つ作業の目安は、上の「重い物を持つ」をご覧ください |
| 出張・旅行・飛行機 | 麻酔の影響がなくなればさしつかえありません |
| 飲酒 | 傷が落ち着くまで(1週間程度)は、控えることをお勧めします。飲んでもかまいませんが、血流がよくなり、痛みや傷の赤みが強くなることがあります |
| 喫煙 | 制限はありませんが、傷が治るまで(1週間程度)は控えるのが望ましいです |
| 性生活 | 制限はありませんが、2週間程度は避けるのが望ましいです。痛みのない範囲で |
| 便通 | 痛みでいきめず、便秘になることがあります。必要に応じて緩下剤(おだやかな下剤)を使います |
| 痛みの経過 | 3〜4日目以降に和らいでいくことが多いです |
| 腫れ・違和感 | 違和感やふくらみは3〜4週間ほど続くことがあり、漿液腫(体液のたまり)は多くが自然に吸収されます |
| 術後の診察 | 通常1回。オンライン診察も選択肢になる予定です |
| 休薬した薬の再開 | 休薬した薬(血液をサラサラにする薬など)の再開は、麻酔科医が手術前に個別にご案内します |
手術のあとの症状と、連絡の目安
| 症状 | 経過 |
|---|---|
| 肩の痛み | 腹腔鏡手術のあとに起こりやすく、3日程度続くことがあります |
| おなかの張り・便秘 | 麻酔と手術の影響で腸の動きが一時的に鈍ることがあります |
| おへその傷の痛み | 重い筋肉痛のような痛みで、日ごとに軽くなっていきます |
| 微熱 | 37.5℃以下であれば、術後の反応として様子をみて大丈夫です |
すぐに当院へ連絡していただきたい症状:嘔吐が続く/急な腹痛/38℃以上の発熱/傷の赤み・腫れ、膿が出る/尿が出ない。時間帯を問わずLINEまたは電話でご連絡ください。
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手術に関するよくある質問
Q1. メッシュを体内に留置することへの不安があります。安全ですか?
腹壁ヘルニア修復に使用するメッシュは医療認可を受けた生体適合性の高い素材です。ポリプロピレン製や複合素材など長期間の使用実績があります。
稀に感染・血清腫・慢性疼痛などの合併症が報告されていますが、適切な術式と術後管理により多くの症例で問題なく経過しています。メッシュを使用しない修復では再発率が20〜30%と高いため、現在はメッシュ修復が標準的です。ご不安な点は診察時にご相談ください。
Q2. 術後の再発はどのくらいの頻度で起こりますか?
メッシュを用いた腹腔鏡下修復術の再発率は、約3〜5%と報告されています。再発リスクを下げるには、生活習慣の管理も重要です。肥満の改善、慢性便秘の解消、重いものの持ち上げを避けることなどです。吉祥寺日帰り手術クリニックでは、術後の経過観察と生活指導により、再発予防に努めています。
Q3. 手術後いつから仕事に復帰できますか?
簡単なデスクワークなら、状態がよければ翌日から復帰を検討できます。体を使う仕事は、負荷によって異なります。重い物を持つ作業は3〜4週間程度、強めの運動は3週間程度を目安にしています。回復には個人差があります。術後の経過をみて、医師が具体的にアドバイスいたします。
Q4. 手術費用は保険適用ですか?
はい、腹壁瘢痕ヘルニアの手術は健康保険が適用されます。当院の保険診療は2027年1月5日に開始予定です。開始後は、保険診療の3割負担で約6〜12万円が目安となる見込みです(ヘルニアのサイズ・術式により異なります)。高額療養費制度を利用すると、自己負担額をさらに軽減できます。費用の詳しいご説明は手術の前にいたしますので、ご安心ください。
腹壁瘢痕ヘルニア手術の費用と入院期間
入院は不要です(日帰り手術)
当院の腹壁瘢痕ヘルニア手術(腹腔鏡下メッシュ修復術)は、小~中サイズのヘルニアであれば入院不要の日帰り手術です。手術は全身麻酔で行います(手術時間約45〜90分)。
術後約60分の経過観察ののち、当日にご帰宅いただけます。一般的な入院手術では、3〜7日程度の入院となることが多いです。
当院は、麻酔科専門医の全身管理のもと、日帰りで対応する予定です。なお、欠損径が大きいヘルニア(目安として10cm以上)や腸管癒着が強い場合などは、入院での手術をお勧めする場合があります。
手術費用の目安(保険適用)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用の目安 | 約6〜12万円(3割負担) |
| 保険適用 | 健康保険の適用対象です |
| 高額療養費制度 | 所得区分に応じて、自己負担額をさらに抑えられる場合があります |
費用はヘルニアのサイズ・術式・処置内容により異なります。詳しくは診察時にご説明いたします。
Q. 腹壁瘢痕ヘルニアの手術に入院は必要ですか?
欠損径が概ね10cm未満の小~中サイズであれば、当院では日帰り手術で対応する予定です。入院は不要となる見込みです。術後約60分の経過観察ののち、当日にご帰宅いただけます。ただし、欠損径が大きい場合(目安として10cm以上)や癒着が強い場合は、入院手術をお勧めする場合があります。
Q. 腹壁瘢痕ヘルニアの手術費用はいくらですか?
健康保険が適用され、3割負担の場合で約6〜12万円が目安です。ヘルニアのサイズ・術式・処置内容により異なります。高額療養費制度を利用すると、自己負担額をさらに抑えられる場合があります。
費用の全体像は費用・保険のご案内、自己負担の上限については高額療養費制度をご覧ください(いずれも保険診療の場合の目安です)。
参考文献
参考文献(4件)を読む
- Muysoms FE, Antoniou SA, Bury K, et al. European Hernia Society guidelines on the closure of abdominal wall incisions. Hernia. 2015;19(1):1-24. (PMID: 25618025)
- Silecchia G, Campanile FC, Sanchez L, et al. Laparoscopic ventral/incisional hernia repair: updated Consensus Development Conference based guidelines. Surg Endosc. 2015;29(9):2463-2484. (PMID: 26139480)
- 日本ヘルニア学会. 腹壁ヘルニア診療ガイドライン 2020. 金原出版; 2020.
- LeBlanc KA, Booth WV. Laparoscopic repair of incisional abdominal hernias using expanded polytetrafluoroethylene: preliminary findings. Surg Laparosc Endosc. 1993;3:39-41.
腹壁瘢痕ヘルニアの症状でお悩みの方は、吉祥寺日帰り手術クリニック(吉祥寺駅徒歩2分)にご相談ください。外科専門医と麻酔科専門医が連携し、安全な日帰り腹腔鏡手術を提供する予定です。開腹手術後のヘルニアでお困りの方、他院で手術を勧められた方もお気軽にご相談ください。
吉祥寺日帰り手術クリニックで対応予定の日帰り手術
ご相談・ご予約
当院は2026年12月開設・2027年1月5日 保険診療開始予定です。手術に関するご相談・ご予約の受付開始時期は、下記の受付状況ページでご案内します。