吉祥寺駅アトレ本館西口 徒歩2分・2026年12月開設|外科・耳鼻咽喉科・整形外科の日帰り手術

虫垂炎(盲腸)の日帰り手術|再発を防ぐ待機的虫垂切除

虫垂炎(盲腸)の手術費用を解説。保険診療開始(2027年1月5日予定)後は3割負担で約8〜9万円、高額療養費適用で区分ウ約8.6万円の見込み。待機的虫垂切除を腹腔鏡・日帰りで行う予定。吉祥寺駅徒歩2分・2026年12月開設。

まず知っていただきたいこと

当院で予定している手術と対象

炎症が落ち着いた成人の方を対象に、再発を防ぐための日帰りの虫垂切除手術を行う予定です。外科専門医が執刀し、麻酔科専門医が全身麻酔を管理します。

いま強い腹痛や高熱がある方へ

急性期の虫垂炎の日帰り手術は、他院からのご紹介がある方に限り、診察のうえで適応を判断する予定です。強い腹痛や高熱がある方は、まず救急対応が可能な医療機関を受診してください。

当院は、2026年12月開設・2027年1月5日保険診療開始の予定です。上記はいずれも開始後の見込みです。数値は文献の報告値と保険点数からの目安で、当院の実績ではありません。個別の適応・術式・時期は、診察・検査の結果により決まります。

図1:虫垂(ちゅうすい)はどこにある? ― 大腸・盲腸との位置関係
腹部の解剖図。右下腹部にある盲腸の先端から細い虫垂が伸びる位置関係と、体表の目印であるMcBurney点を示す 上行結腸 盲腸 虫垂 McBurney点

「盲腸」と呼ばれますが、炎症が起きるのは盲腸そのものではなく、盲腸の先端から伸びる細い「虫垂」です。
McBurney点は、体の表面の目印です。へそと右の腰骨の出っぱり(上前腸骨棘)を結んだ線を3等分し、外側から1/3にあたる点です。虫垂炎ではこの付近に痛みが集まります。
※図は向かって左が患者さんの右側です。

図4:正常な虫垂と、炎症を起こした虫垂(右下腹部の拡大)
正常な虫垂。盲腸の先端から細く伸びており、色調は周囲の腸と同じ
正常な虫垂

細く、周囲と同じ色調

炎症を起こした虫垂。全体が太く腫れ、赤みを帯びている
炎症を起こした虫垂

太く腫れ、赤みが強くなる

虫垂の内側が糞石などでふさがると、内部で細菌が増えて虫垂が腫れます(右)。腫れが続くと、虫垂の壁の血流が悪くなります。その結果、穿孔(破裂)から腹膜炎へ進むことがあります。
右下腹部の痛みが強くなる前に、早めの診断・治療が重要です。
※図は向かって左が患者さんの右側です。

この手術の対象になるのはどんな方?(当院の適応)

当院は、炎症が落ち着いた時期に行う待機的虫垂切除(interval appendectomy)を、成人(18歳以上)の方に日帰りで行う予定です。小児(18歳未満)の手術は行う予定はありません。急性期の虫垂炎の日帰り手術は、他院からのご紹介がある方に限り、診察のうえで適応を判断する予定です。入院での術後管理が必要と判断した場合は、近隣の病院へご紹介します。以下は、国内外の診療ガイドラインに沿った当院の考え方です。

手術をお勧めする方

  • CTなどで糞石(ふんせき)を指摘されている方。糞石があると抗菌薬が効きにくく、再発リスクが高いことが知られています。そのため、手術による切除をとくにお勧めします3
  • 抗菌薬による保存的治療でいったん落ち着いたものの、痛みが再発した方・再発を繰り返している方(国際ガイドラインで強く勧められています3)
  • 35歳以上(とくに40歳以上)で、膿瘍や腫瘤(かたまり)を伴う虫垂炎を手術せずに治療した方。この場合は、落ち着いてから6〜12週後の切除が勧められています。診断を確定させる意味があるためです。あとから虫垂の腫瘍が見つかる例が報告されています。膿瘍を伴う虫垂炎を対象とした無作為化試験では、試験に参加した20%(60例中12例)〔20%〕に腫瘍が見つかりました。いずれも40歳を超える方でした12。国際ガイドラインでも、この年齢層での切除が勧められています8,9。なお、この20%は、膿瘍を伴う患者さんを対象とした研究での「腫瘍」の割合です。すべての虫垂炎患者さんにおける「癌」の確率ではありません。詳しくは虫垂炎と虫垂癌の関係をご覧ください。
  • 受験・出張・長期の海外渡航などの予定があり、再発による急な入院・緊急手術を避けたい方
  • ご高齢の方でも、膿瘍を伴う虫垂炎に対する待機手術は緊急手術より開腹への移行や合併症が少なかったとする国内報告があります13(全身状態により入院施設での手術をお勧めする場合があります)

診察のうえで一緒に判断する方

  • 合併症のない(単純性)虫垂炎が抗菌薬で治り、現在は症状のない35歳未満の方。全員に手術が必要とはされていません。ただし、抗菌薬で治療した方の約27%が1年以内に、約39%が5年以内に手術に至ったという報告があります15。ご希望や生活背景を伺ったうえで相談します
  • 他院で保存的治療を受け、その後の方針が決まっていない方(画像・血液検査の結果をお持ちください)
  • 持病がある方、全身麻酔に不安のある方(麻酔科専門医が事前に評価します)

当院では対応できない方(他院をご案内します)

  • 18歳未満の方(小児外科のある医療機関へご相談ください)
  • いま強い腹痛・高熱があり、腹膜炎や穿孔が疑われる急性期の方、膿瘍のドレナージ(管を入れて膿を出す処置)や入院が必要な状態の方
  • 妊娠中の方
  • 心臓や血管(動脈)の病気、肺の病気や重い喘息などの併存疾患がある方、腎臓・肝臓に重い病気がある方、重い睡眠時無呼吸症候群や著しい肥満がある方、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を休薬できない方など、日帰りではなく入院して全身麻酔の手術を受けるほうが適切と判断される方 — 麻酔科専門医が手術前に評価し、入院設備のある連携医療機関をご紹介します
  • 年齢や全身状態から、入院設備のある病院での手術が望ましいと判断される方
  • 手術当日から翌日にかけて、付き添いや連絡がとれる方を確保できない方

詳しい除外基準は日帰り手術の対象外となる場合をご覧ください。最終的な適応は初回診察・術前検査と麻酔科専門医の評価をふまえて判断します。

40歳以上の方へ:膿瘍を伴う虫垂炎のあとは、虫垂や大腸の腫瘍が隠れていることがあります。そのため、ガイドラインでは手術に加えて大腸内視鏡検査による確認が勧められています3,10。必要な場合は連携医療機関をご紹介します。
お子さんの場合:小児の腫瘤形成性虫垂炎(かたまりをつくる虫垂炎)でも、日本のガイドラインでは抗菌薬治療後の待機的虫垂切除が勧められています11。ただし、当院では小児の手術を行う予定がありません。小児外科のある医療機関へご相談ください。

出典の番号はページ末尾の「参考文献」に対応しています。

炎症が落ち着いた後の待機手術のご相談(2027年1月5日 保険診療開始予定): 予約受付状況 / お問い合わせ

治療は大きく2つのアプローチに分かれます。急性虫垂炎の標準治療は、抗菌薬投与か手術(虫垂切除術)です。軽症の急性虫垂炎は、抗菌薬投与で軽快することが多いです。一方、糞石(ふんせき:便が石のように固まったもの)がある場合は再発しやすく、抗菌薬が効きにくいことが知られています。

米国の無作為化試験(CODA)では、抗菌薬で治療した方のうち約29%が、90日以内に虫垂切除に至りました。糞石がある方では41%でした(CODA Collaborative. N Engl J Med. 2020;383(20):1907-1919/PMID: 33017106)。

1年では約40%に達したと報告されています(CODA Collaborative. N Engl J Med. 2021;385(25):2395-2397/PMID: 34694761)。再発例では手術の必要性が高まります。

近年注目されているのが待機的虫垂切除術です。まず急性炎症を抗菌薬で鎮めます。

その後6〜12週間の間隔をおいて、予定手術として虫垂切除を行う方法です。炎症が落ち着いた状態で手術するため、急性期の緊急手術に比べて合併症が少ないと報告されています3,13。

手術は腹腔鏡で行います。へその上の約2cm 1か所から器具を入れます。開腹手術より傷が小さく、回復が早いことが示されています1。日帰り手術に向いた術式です。当院では、抗菌薬治療後の待機手術に加え、急性期の虫垂炎の日帰り手術は、他院からのご紹介がある方に限り、診察のうえで適応を判断する予定です。

当院の手術方法: 腹腔鏡下虫垂切除術

腹腔鏡下虫垂切除術とは

腹腔鏡(カメラ)を用いて、小さな切開から虫垂を切除する術式です。近年は、虫垂切除術の多くが腹腔鏡下で行われています。

腹腔鏡手術そのものの仕組みと当院の考え方は腹腔鏡手術とはで解説しています。開腹手術と比べて傷が小さく、術後の回復が早いことが、システマティックレビュー(複数の研究をまとめて評価した研究)で示されています1。

当院では、へその1か所の傷だけで行う単孔式(たんこうしき)を基本とします。腹腔内の状態や炎症の程度によっては、3〜5mmのポート創(器具を入れる小さな傷)を追加することがあります。

虫垂炎の手術は、1894年に右下腹部を切開する開腹法が確立されました6。1983年には腹腔鏡下の切除が報告されました7。それ以降、傷を小さくする方向に発展してきました。単孔式はその延長にある方法です。

図5:切開を置く位置(単孔式・へその1か所)
単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の切開位置の模式図。へその上をまっすぐに約2cmの切開を1か所だけ置く。 へそ 約2cm 虫垂のあたり
  • ①臍(へそ)─ 約2cm(へその上をまっすぐな切開)腹腔鏡(カメラ)と手術器具をまとめて入れる、たった1か所の傷です。ここには「ラッププロテクター」を装着します。傷を守る筒状の器具で、切除した虫垂を取り出すために使います。器具で傷を守りながら虫垂を体外へ出すので、切開は2cmほどになります。切開は円弧を描かず、へその上をまっすぐに行います。傷はへそのくぼみに隠れるため、治ったあとは目立ちにくくなります。

向かって右が患者さんの左側です。痛みの強い右下腹部そのものには傷をつけません。離れた位置から器具を入れて、虫垂に到達します。画像内の傷は、体格に対するおおよその実寸比で描いた模式図です。傷の位置や本数は、体格・腹腔内の状態・術中の判断によって変わることがあります。

図6:虫垂の根元をクリップで結紮してから切除します
虫垂の根元をクリップで結紮したところ。盲腸から伸びる虫垂の付け根にクリップがかかっている(模式図) ① 結紮(けっさつ)

虫垂の根元をクリップまたは糸で確実に閉じます

虫垂を切除したあと。盲腸側に閉鎖したクリップだけが残っている(模式図) ② 切除

結紮した外側で切り離し、虫垂を体外へ取り出します

まず、虫垂間膜(虫垂に血管を運ぶ膜)を処理して血流を止めます。次に、虫垂の根元(盲腸との境目)をクリップまたは糸で結紮(けっさつ:しばって閉じること)し(①)、その外側で切り離します(②)。残った断端(切り口)は盲腸側で閉じられているため、腸液がもれないようになります。切除した虫垂は、へその傷から体外へ取り出します。
※図は向かって左が患者さんの右側です。実際の見え方は炎症の程度や体格によって異なります。

手術の詳しい手順を図で見る
  1. へその上をまっすぐに約2cmの切開を行い、ラッププロテクター(創部を保護する筒状の器具)を装着して、この1か所から腹腔鏡と手術器具を入れます
  2. 腹腔内を観察し、虫垂の状態と炎症の範囲を確認します。同時に、他の病気(卵巣嚢腫、メッケル憩室など)がないかも確認できます
  3. 虫垂間膜を処理し、虫垂への血管を遮断します
  4. 虫垂根部を結紮またはクリップで処理し、虫垂を切除します(図6)
  5. 切除した虫垂を回収し、へそのラッププロテクターを通して体外へ取り出します。腹腔内を洗浄します。その後、器具を抜いて傷を閉じます
図6-2:糸で結ぶ場合 ― 根元を閉じてから、虫垂を切り離します

① 切り離す前

虫垂を切り離す前の模式図。青い糸で根元を締め、内側の通り道を閉じている。

虫垂の根元を糸で結び、内側の通り道を閉じます。

② 切り離した後

虫垂切除後の模式図。盲腸側には、根元を糸で閉じた短い虫垂断端が残っている。糸で閉じた部分

閉じた部分より先で切り離します。盲腸側には短い虫垂断端が残ります。21

AI生成の模式図です。図は糸で結ぶ方法の一例で、閉鎖方法にはクリップなどを使う方法もあります。血管・虫垂間膜の処理は省略し、糸の色や太さは見やすく表現しています。実際の方法は炎症の状態などで異なります。22


手術の流れ

虫垂炎の手術当日のスケジュール虫垂炎の手術当日の流れを時刻とともに示した図。8:30 来院、8:40 準備、9:15〜10:15 手術、〜11:15 回復、11:15頃 帰宅。手術時間は約30〜60分、麻酔は全身麻酔、院内滞在は約2〜3時間が目安です。手術当日のスケジュール8:30来院受付・問診票記入8:40準備着替え・点滴9:15〜10:15手術約30〜60分全身麻酔〜11:15回復安静・経過観察11:15頃帰宅お疲れ様でした院内滞在時間:約2〜3時間

手術時間はどのくらい?

手術そのもの(執刀時間)は約30〜60分です。ただし実際にクリニックで過ごす時間はこれより長く、受付から帰宅まで約2〜3時間を目安にお考えください。お仕事や送迎の予定は、余裕をもって組んでいただくことをお勧めします。

手術当日の内訳所要時間の目安
受付・体調確認10〜15分
術前準備(着替え・点滴・麻酔の最終確認)20〜30分
手術(執刀)30〜60分
リカバリー(覚醒・経過観察)45〜75分
帰宅指導・お会計15分
合計(受付から帰宅まで)約2〜3時間

※時間は目安です。当日の体調・麻酔からの覚めかた・回復の経過によって前後します。術後の状態が安定しないと判断した場合は、経過観察を延長するか、連携医療機関へご紹介します。
※全身麻酔の影響は当日いっぱい残ります。そのため、ご自身での自動車・バイク・自転車の運転はできません。公共交通機関または送迎をご利用ください。遠方からお越しの方は遠方からお越しの方へもご覧ください。

手術を受けるまでと当日の流れ(7ステップ)

2027年1月5日の保険診療開始後を想定した標準的な進め方(予定)です。日帰り手術全体の進み方は手術の流れ、当日までの準備や術後の生活は手術前後の生活と注意点もご覧ください。

初回来院診察・術前検査・麻酔前評価症状の経過と既往歴(これまでの病気)を確認し、血液検査・心電図・胸部X線・超音波などを行う予定です。他院のCT画像(CD-R)や血液検査結果があれば持参してください。手術日を決めます。初めての方へ
手術当日の朝来院前日の夜9時以降は絶食です(食事をとらないでください)。水・お茶・スポーツドリンクなど透明な飲み物は、手術の2時間前まで飲めます。来院後に体調確認と最終説明を行います。
術前準備約30分手術着に着替え、点滴を入れ、麻酔科専門医が麻酔の最終確認をします。
手術30〜60分全身麻酔で腹腔鏡下虫垂切除術を行う予定です。麻酔科専門医が呼吸・循環を常時モニタリングします。
リカバリー約1時間麻酔からの目覚め(覚醒)と回復の様子を観察します。痛みを抑えたうえで、水を飲めること・歩けることを確認します。
帰宅付き添いあり術後の注意・鎮痛薬と抗菌薬の飲み方・緊急連絡先を説明する予定です。下の「当日の注意」をご確認ください。
術後診察1週間後・1か月後傷の状態を確認します。切除した虫垂の病理検査(顕微鏡で調べる検査)の結果をご報告します。術後1か月の最終確認で、治療は完了です。

手術当日の注意

  • 全身麻酔の影響は当日いっぱい残るため、ご自身での運転(自動車・バイク・自転車)はできません。公共交通機関か送迎をご利用ください。
  • ご帰宅は原則として成人の方の付き添いをお願いします。おひとり暮らしの方は事前にご相談ください。
  • 当日は飲酒・機械の操作・重要な判断を要する仕事を控えてください。入浴も避けてください(翌日からシャワー可)。

手術が延期・中止になることがあります

  • 術前検査で心臓・呼吸器・血液などに手術に影響する所見が見つかった場合
  • 当日に発熱・咳・体調不良がある場合
  • 絶飲食や常用薬の指示が守られていない場合
  • 付き添い・帰宅手段が確保できていない場合

延期は安全に手術を行うための判断です。日程を改めて調整します。

帰宅後にすぐ連絡していただく症状

  • 強い腹痛が続く、または強くなってくる
  • 38℃以上の発熱
  • 傷からの出血や膿、傷の腫れ
  • 繰り返す嘔吐、息苦しさ

時間帯を問わず、お渡しする緊急連絡先までご連絡ください。

入院期間と術後の回復

病状ごとの入院期間

虫垂炎の入院期間は、「いつ手術を受けるか」と「炎症の程度」で大きく変わります。当院が対象とする予定の待機手術は、入院不要です。急性期の手術では、炎症の程度や全身状態によって入院が必要です。急性期の虫垂炎の日帰り手術は、他院からのご紹介がある方に限り、診察のうえで適応を判断する予定です。

病状別の入院期間を比べる
ケース入院期間の目安当院での対応
待機手術
(炎症が落ち着いた後の予定手術)
入院なし(当日帰宅)
術後約60分の経過観察ののち、ご帰宅いただける見込みです
対応予定
急性虫垂炎の手術
(穿孔なし・単純性・腹腔鏡)
入院で手術を受ける場合は4〜7日程度となることが多く、状態により異なります他院からのご紹介に限り、日帰り手術の適応を診察で判断する予定です。入院が必要な場合は連携医療機関をご紹介します
開腹での虫垂切除
(腹腔鏡から移行した場合を含む)
腹腔鏡手術より入院期間が長くなる傾向が報告されています1対象外(連携医療機関をご紹介)
穿孔・腹膜炎・膿瘍を伴う場合上記より長くなり、抗菌薬の点滴やドレナージが必要になることがあります対象外(入院設備のある病院での治療が必要です)
抗菌薬による保存的治療のみ点滴治療のため入院となることがあります(外来で行う場合もあります)対象外(急性期に対応する医療機関で行われます)

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※入院日数は医療機関の方針・術式・術後の経過によって異なります。当院の日帰り手術でも、術後の痛み・出血・嘔吐などで、当日のご帰宅が難しいと判断することがあります。その場合は、入院設備のある連携医療機関にご紹介します。

術後の回復スケジュール

手術当日数時間後に飲水・歩行。夕食は消化の良いもの× 運転・入浴・飲酒・機械操作
翌日シャワー・通常の食事・家事・デスクワーク。状態がよければ立ち仕事も検討× 湯船・強めの運動・重い荷物
3〜7日痛みは3〜4日目以降に和らぐことが多いです。日常生活はほぼ通常どおりです。運動は散歩から再開します× 腹圧のかかる運動・重い物を持つ作業
1週間前後術後診察で傷と病理結果を確認。湯船・温泉もこのころから× 痛みを我慢しての運動
1〜2週間重い物を持つ作業(目安1〜2週間)や強めの運動(目安2週間)を、痛みに応じて段階的に再開× 痛みが残る動作を無理に続けること

※回復には個人差があります。上記は待機手術で経過が順調な場合の目安で、実際の再開時期は術後診察で個別にご案内します。

仕事復帰の目安

デスクワークであれば、手術の翌日〜数日を目安に再開する設計です。痛みや眠気の残り方には個人差があります。体を使う仕事ほど、復帰までの期間が長くなります。実際の時期は、術後の状態を見て診察で判断します。

お仕事の種類復帰の目安補足
デスクワーク・在宅勤務
事務・IT・座り仕事中心の接客
翌日〜数日痛みや眠気が残る場合は無理をせず、短時間から戻すことをお勧めします
立ち仕事・軽作業
販売・調理・軽い運搬
状態がよければ翌日から検討仕事の負荷によります。長時間の立位や中腰は、痛みの様子を見ながら段階的に
重労働
建設・介護・運送・重量物の運搬
重い物を持つ作業は1〜2週間程度が目安負荷には個人差があります。腹圧が強くかかる作業は、術後診察で相談してから
スポーツ(部活動・競技)軽い運動は無理なくできる状態から。強めの運動は目安2週間程度一律の日数は設けず、術後診察で個別にご相談ください
運転(通勤・業務)手術当日は不可。翌日以降、眠気の出る痛み止めを使っておらず、安全に急ブレーキが踏める状態になってから当日は全身麻酔の影響が残るため、送迎か公共交通機関をご利用ください

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傷病手当金・民間の医療保険について
  • 傷病手当金(健康保険):病気やけがで働けない期間について、健康保険から支給される制度です。連続する3日間の休み(待期)があることが前提です。そのうえで、4日目以降に休んだ日が対象になります。日帰り手術で翌日から復帰できた場合は、この要件を満たさないことが一般的です。休職期間が生じる場合は、ご加入の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に支給要件をご確認ください。申請書には医師の証明欄があります。当院でも記入に対応する予定です。
  • 民間の医療保険・共済:手術給付金は、日帰り手術でも対象となる商品が多いです。ただし、給付の条件は契約内容によって異なります。ご契約先に「腹腔鏡下虫垂切除術(日帰り)」が給付対象かをご確認ください。
  • 診断書・手術証明書の文書料:保険会社へ提出する書類の作成費用は、健康保険の対象外(自費)です。高額療養費制度の計算にも含まれません。
  • 高額療養費制度:1か月(暦月)ごとの計算です。急性期の治療と待機手術の月が分かれる場合は、それぞれの月で別々に計算されます。詳しくは費用のセクションをご覧ください。

食事について ― 食べてはいけないものはありますか?

時期おすすめ控えたいもの
手術前日〜当日前日夜9時までに食事を済ませます。水・お茶・スポーツドリンクなど透明な飲み物は手術の2時間前まで可牛乳・乳製品・果肉入りジュース(前日夜以降)、当日の固形物
手術当日の夕食おかゆ・うどん・スープなど消化の良いもの。少量から脂っこいもの、香辛料の強いもの、アルコール
術後1週間ごろまで通常の食事に戻せますが、消化の良いものを中心に暴飲暴食、アルコール(痛み止め服用中はとくに)
術後1週間以降とくに制限はありません。バランスのよい食事を—

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「これを食べたから虫垂炎になった」「この食品を避ければ再発しない」といった食事制限に、確立した医学的根拠はありません。コーヒーや特定の食品が虫垂炎の原因になるという証明もされていません。手術で虫垂を切除しても、消化・吸収への影響が残ることは通常ありません。長期的な食事制限は必要ありません。

※炎症が落ち着いてから手術までの期間に、特別な食事制限は原則ありません。ただし、痛み・発熱が再び出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。


手術に伴うリスクと術後の経過

手術後に起こりやすいこと(多くは自然に落ち着きます)

次の症状は、手術後の正常な経過の一部として起こりうるものです。虫垂炎の再発を意味するものではありません。ただし、程度が強い場合、長引く場合、「すぐ連絡していただく症状」に当てはまる場合はご連絡ください。

へその傷の痛み・皮下出血切開した部分の痛みは、手術当日から翌日がもっとも強くなります。その後、数日で軽くなる見込みです。傷のまわりが青紫色になる皮下出血は、時間とともに黄色くなって消えていきます。
当院の対応帰宅時に鎮痛薬をお渡しします。痛みが日ごとに強くなる場合や、傷が赤く腫れて熱を持つ場合は、感染の可能性があります。ご連絡ください。
肩や背中の張りおなかを膨らませたガスの影響で、肩や背中に張るような違和感が出ることがあります。通常は1〜2日でおさまります。
当院の対応ガスは、歩いたり体を起こしたりすると早く抜けます。息苦しさを伴う場合は、別の原因を考える必要があります。ご連絡ください。
おなかの張り・便通の乱れ麻酔と手術の影響で、腸の動きが一時的に鈍くなることがあります。そのため、ガスがたまったり、便秘や軟便になったりすることがあります。
当院の対応消化の良い食事と水分をとり、早めに歩くことをお勧めします。嘔吐を繰り返す場合や、おなら(排ガス)がまったく出ない場合は、腸閉塞の可能性があります。ご連絡ください。
微熱・だるさ・眠気手術当日から翌日にかけて37℃台の微熱や、麻酔の影響による眠気・だるさが出ることがあります。
当院の対応38℃以上の発熱、または微熱が数日続く場合はご連絡ください。
のどの痛み・声のかすれ・吐き気これらは、全身麻酔のときに気管に入れたチューブや、麻酔薬の影響で起こります。多くは数日で軽快します。詳しくは「全身麻酔に伴うリスク」をご覧ください。
当院の対応吐き気は予防薬で対策します。帰宅時には、吐き気止めもお渡しする予定です。水分がとれないほど吐き気が続く場合は、ご連絡ください。

手術に伴うリスク・合併症

虫垂切除術は広く行われている手術です。ただし、腹腔鏡手術・開腹手術のいずれにも一定のリスクがあります。当院では術前診察で、以下の内容を個別にご説明します。ご同意をいただいたうえで手術を行う方針です。

傷のトラブル創部感染(傷の赤み・腫れ・膿)は、腹腔鏡手術では開腹手術より少ないと報告されています。ただし、ゼロではありません。まれに、傷の部分がふくらむポート部ヘルニアが起こることがあります。
当院の対応術後1週間の診察で傷を確認します。赤み・膿・腫れがあれば早めにご連絡ください。抗菌薬などで対応し、必要な場合は連携医療機関へご紹介します。
おなかの中のトラブル起こりうるものは、腹腔内膿瘍(おなかの中に膿がたまること。腹腔鏡では開腹よりやや多いとする報告もあります1)、術後の出血、腸管・膀胱・血管の損傷、虫垂の根元からの腸液のもれ、腸閉塞(イレウス)です。いずれも頻度は低いものです。ただし、再手術や入院が必要になることがあります。
当院の対応手術中は、虫垂の根元をクリップまたは糸で確実に閉じます。そのうえで、おなかの中(腹腔内)を洗浄して確認します。帰宅後に強い腹痛・発熱・嘔吐が続く場合は、ご連絡ください。入院設備のある連携医療機関へおつなぎします。
血栓症足の静脈に血栓(血のかたまり)ができる深部静脈血栓症と、その血栓が肺に飛ぶ肺血栓塞栓症です。
当院の対応弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法(足に巻いた装置で圧迫を繰り返す方法)で予防します。術後は早めに歩いていただきます。
開腹手術への移行・予定外の入院癒着(臓器どうしがくっつくこと)が強い場合、予期せぬ出血があった場合、根元まで炎症が強く安全に切除できない場合は、安全を優先して開腹手術に移行することがあります。また、術後の痛み・出血・嘔吐のため、当日の帰宅が難しいこともあります。
当院の対応術前に、リスクと費用の見込みをご説明します。同意をいただいたうえで手術します。帰宅は、覚醒・歩行・飲水・排尿、痛みと吐き気のコントロール、成人の付き添いを確認してから決めます。当院は無床診療所(入院用のベッドがない診療所)です。そのため、当院での入院はできません。開腹手術への移行や入院が必要な場合は、入院設備のある連携医療機関にご紹介します。

合併症の頻度は、報告により幅があります。炎症が落ち着いてから行う待機手術は、急性期の緊急手術に比べて合併症が少ないと報告されています3,13。ご不安な点は術前診察でお気軽にご質問ください。

全身麻酔に伴うリスク

麻酔には手術とは別のリスクがあるため、分けてご説明します。当院では麻酔科専門医が全例を担当する予定です。それでも、次のことは起こりえます。頻度の言葉の意味は「頻度の言葉の目安」をご覧ください。

比較的よく起こるもの術後の吐き気・嘔吐の起こりやすさは、危険因子(女性・乗り物酔いや術後嘔吐の経験・非喫煙・術後の強い鎮痛薬)の数によって変わります。約10%から約80%まで幅があると報告されています18。また、気管に入れたチューブによるのどの痛み・声のかすれや、眠気・ふらつきも起こります。
当院の対応術前に危険因子を確認します。該当する方には、予防薬を組み合わせて使います。のどの痛みは、多くが数日で軽くなります。
ときに〜まれに起こるもの(1,000人に1〜10人〜1万人に1〜10人)歯やかぶせ物の損傷、薬剤へのアレルギー反応、目覚めの遅れ、誤嚥(胃の内容物が気管に入る)。
当院の対応術前に、ぐらつく歯・アレルギー歴・絶飲食(食べたり飲んだりしないこと)の状況を確認します。絶飲食の指示が守られていない場合は、安全のため手術を延期します。
ごくまれだが重篤なもの(1万人に1人未満)悪性高熱症(麻酔薬に対する遺伝性の反応)、重い薬剤反応(アナフィラキシー)。
当院の対応ご本人や血縁者に麻酔で問題があった方は、術前に必ずお知らせください。
頻度の言葉の目安(このページ共通)
  1. 非常に多い:10人に1人以上(10%以上)
  2. 多い:100人に1〜10人(1%以上10%未満)
  3. ときに:1,000人に1〜10人(0.1%以上1%未満)
  4. まれ:1万人に1〜10人(0.01%以上0.1%未満)
  5. ごくまれ:1万人に1人未満(0.01%未満)

日帰り手術全般のリスクと当院の備えは手術のリスク・合併症について、全身麻酔の安全管理は日帰り手術の麻酔についてにまとめています。麻酔そのものへの不安については、全身麻酔の正体を3分で解説/麻酔中に意識が戻るって本当?/麻酔後によくある症状とそのケアもあわせてご覧ください。

図7:傷の大きさの比較(ほぼ実寸で表示しています)

開腹手術(従来の方法)

4〜6cm × 1か所
右下腹部を切開します。点線の部分は、状況によって広がる範囲です。

傷の長さの合計
約4〜6cm

腹腔鏡手術(当院)

①約2cm(へその上・まっすぐな切開)

図5の①に対応しています。

傷の長さの合計
約2cm

※お使いの画面の設定によっては、表示される長さが実寸と多少ずれることがあります。傷の大きさは体格・炎症の程度・術中の判断によって変わります。癒着(臓器どうしがくっつくこと)が強い場合などは、開腹手術に移行することがあります。開腹手術が適切な場合もあります。傷あとの治り方には個人差があります。

当院の腹腔鏡手術は、へその上をまっすぐに切開する約2cmの傷1か所で行います。開腹手術(4〜6cm)の半分程度の長さです。傷がへそに隠れるため、目立ちにくいのも特長です。傷の大きさだけで術式が決まるわけではなく、炎症の程度や腹腔内の状態を見て、安全に行える方法を選びます。

手術後の痛みはどのくらい?

術後の痛みは、内服の鎮痛薬で対応する設計です。痛みは手術当日から翌日がもっとも強く、数日で軽くなっていく見込みです。

痛みの感じ方には個人差があります。痛みが長引く場合は、術後診察で評価します。

腹腔鏡手術は開腹手術より術後の痛みが少ないことが、コクラン・レビューで示されています1。おなかを膨らませるガスの影響で、肩や背中に張るような違和感が出ることがあります。

この違和感は、通常1〜2日でおさまります。帰宅時に鎮痛薬をお渡しする予定です。

痛みが強くなる、発熱がある、傷の腫れや膿がある場合は、ご連絡いただく体制にする予定です。

傷あとは残りますか?

切開はへその上の1か所(約2cm)だけです。へそのくぼみに沿った位置のため、治ったあとは傷あとが目立ちにくくなります。とはいえ皮膚を切開する以上、傷あとが完全に消えるわけではありません。

時期傷の状態の目安この時期のケア
術後〜1週間赤みと硬さがあり、ひきつれる感じがあります翌日からシャワー可。こすらず洗い、水気を押さえて拭きます
1週間〜1か月赤みが徐々に薄れ、硬さが残ります術後診察で状態を確認します。強くこすらないようにします
1〜6か月赤みが引き、白っぽく平らになっていきます紫外線を避けると色素沈着が起こりにくくなります
6か月以降色・硬さが落ち着いてきます気になる変化があればご相談ください

傷の治り方には体質による個人差があります。次のような方は、傷の治りに影響することがあります。

過去に傷が盛り上がった(ケロイド・肥厚性瘢痕)ことがある方、糖尿病や喫煙習慣のある方です。当てはまる方は、術前診察でお伝えください。

また、炎症の程度や腹腔内(おなかの中)の状態によっては、3〜5mmのポート創(器具を入れる小さな傷)を追加することがあります。開腹手術に移行して、傷が大きくなることもあります。

虫垂炎手術の費用

※以下の費用は、当院が対象とする予定の待機的虫垂切除術(炎症鎮静後の予定手術)についての記載です。穿孔・腹膜炎などを伴う急性期の重症例は、入院での治療が必要です。こうした重症例は、当院の日帰り手術の対象外です。また、当院は開設準備中です。金額は、2027年1月5日の保険診療開始後の見込みです。

診療日ごとの費用(初診日・手術日・術後診察日)

当院の待機的虫垂切除術は、初診日(術前診察・検査)→ 手術日 → 術後診察日の3回の通院で完結する予定です。全身麻酔を安全に行うため、麻酔科専門医が麻酔前の診察を行います。この診察は、手術当日とは別の日に行います。手術後にも、改めて全身状態と創部(傷の部分)を確認します。切除した虫垂の病理検査の結果は、術後診察日に対面でご説明します。

費用は診療日ごとに計算され、その日ごとに窓口でお支払いいただきます。3割負担の方の目安は次のとおりです。

診療日 この日に行うこと 窓口3割負担(目安)
初診日
手術日の前
診察と術前検査(血液検査・心電図・胸部X線・腹部超音波)、麻酔科専門医による麻酔前の診察
血液検査の結果は当日中にご説明します。
約5,940円
手術日 腹腔鏡下虫垂切除術、全身麻酔と麻酔管理、手術で使うお薬・医療材料、切除した虫垂の病理検査、術後のお薬
術後約60分の経過観察ののち、当日ご帰宅いただけます。
約81,440円
術後診察日
術後1週間前後
創部の確認、麻酔後の全身状態の確認、病理検査結果のご説明
この日で治療はほぼ完了です。
約1,790円
合計 3回の通院の合計
総医療費(10割)は約30万円です。
約89,170円

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炎症が落ち着いた後の待機手術のご相談(2027年1月5日 保険診療開始予定): 予約受付状況 / お問い合わせ

※金額は、令和8年度の診療報酬にもとづく3割負担の方の目安です。当院の保険診療開始(2027年1月5日予定)後の見込みです。金額は、使用する薬剤の種類・量、検査内容・麻酔時間・医療材料により変動します。※CT検査は、他院で撮影された画像を参照する方針です。そのため、上記の金額には含まれていません。他院でCTを撮影されていない場合は、別途検査費用がかかります。※術後1ヶ月の最終確認の受診は、診察のみです。費用は3割負担で約230円です。

※高額療養費制度の自己負担上限額は、1か月(暦月)ごとに計算されます。3回の通院が同じ月内に収まる場合、手術日の窓口負担はその月の上限額までとなります。月をまたぐ場合、初診日分は別の月として計算されます。月末・月初のご予約は、日程をご相談ください。

図9:患者さんが実際に支払う金額の比較(3割負担・高額療養費制度を使った場合)

窓口3割負担(制度を使わない場合)高額療養費制度の適用後(区分ウの例)

当院腹腔鏡下虫垂切除術(日帰り)総医療費 約30万円

窓口3割負担
約89,000円
高額療養費
適用後
約85,900円

高額療養費制度を使うと、1か月の自己負担は入院でも日帰りでもほぼ同じ水準に収まります(区分ウで約8.6万円)。日帰り手術で経済的な違いが出るのは、差額ベッド代・入院中の食事代・仕事を休む日数の部分です。

※金額は、令和8年度診療報酬と、令和8年8月〜令和9年7月診療分の高額療養費の上限額にもとづく目安です。高額療養費の上限額は、所得区分によって異なります。区分エでは61,500円、区分オ(住民税非課税)では36,900円です。差額ベッド代・食事代・文書料などは、高額療養費の対象外です。

虫垂炎手術で患者さんが実際に支払う金額の比較。薄い色が窓口3割負担、濃い色が高額療養費制度を適用した後の自己負担額(区分ウの例)。

高額療養費制度(70歳未満・令和8年8月〜令和9年7月)

年収約370〜770万円(区分ウ)の方の、1か月の自己負担上限約85,900円窓口3割負担 約89,000円 → 制度を使うと約85,900円まで。マイナ保険証または限度額適用認定証を提示すると、窓口での支払いが自動的に上限額までになります。
ほかの所得区分(ア・イ・エ・オ)と多数回該当の上限額を見る
所得区分 1か月の自己負担上限額 多数回該当
ア(標準報酬月額83万円以上/年収約1,160万円〜) 270,300円+(医療費−901,000円)×1% 140,100円
イ(53万〜79万円/年収約770〜1,160万円) 179,100円+(医療費−597,000円)×1% 93,000円
ウ(28万〜50万円/年収約370〜770万円) 85,800円+(医療費−286,000円)×1% 44,400円
エ(26万円以下/年収約370万円まで) 61,500円 44,400円
オ(住民税非課税世帯) 36,900円 24,600円

※令和8年8月診療分から、自己負担限度額が見直されました。あわせて、年単位の上限額(年間上限:区分ア168万円/イ111万円/ウ・エ53万円/オ29万円、8月〜翌年7月)が新設されました。令和9年8月からは所得区分の細分化が予定されています。出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」。全所得区分の解説は高額療養費制度の解説ページの所得区分表もご覧ください。

なお、待機的虫垂切除では、費用が2段階で発生します。「急性期の抗菌薬治療」と「待機手術」です。急性期治療の費用は、治療を受けた医療機関でのお支払いです。高額療養費制度は月ごとの計算です。急性期治療と手術の月が分かれる場合は、それぞれの月で別々に計算されます。

費用は術式・処置内容により異なります。詳しくは診察時にご説明する予定です。

他の手術の費用も「鼠径ヘルニアの手術費用」「痔(いぼ痔)の手術費用」で同じ方針(保険診療の場合の総額・窓口3割負担・高額療養費適用後を分けて表示)で公開しています。傷病手当金・民間医療保険の取り扱いは傷病手当金・民間医療保険の案内をご覧ください。

手術しない選択肢はありますか? ― 抗菌薬治療(薬で散らす)との比較

「盲腸は薬で散らせる」と言われることがあります。これは抗菌薬による保存的治療のことです。点滴や内服で炎症を抑える方法です。急性虫垂炎の治療は、大きく①抗菌薬による保存的治療と②手術(虫垂切除術)の2つに分かれます。どちらも標準的な治療として認められています。ただし、それぞれに向き・不向きがあります。

抗菌薬だけで治療した人のうち、あとから虫垂切除の手術になった割合

CODA試験(米国・成人 1,552人)APPAC試験(フィンランド・成人 257人)

90日29% 1年40% 27% 2年46% 5年39% 0%50%100% 値は各試験の抗菌薬群における累積の虫垂切除率(別々の試験のため単純比較はできません)

出典: CODA Collaborative. N Engl J Med 2020(90日)4・2021(1年・2年)14/Salminen P, et al. JAMA 2018(APPAC 1年・5年)15。糞石(ふんせき:便が固まった石)がある方では、より高くなります(CODA 90日で41%)。再発すると、緊急手術になることがあります。

項目抗菌薬による保存的治療(薬で散らす)虫垂切除術(手術)
治療の内容点滴・内服の抗菌薬で炎症を抑えます炎症の原因である虫垂そのものを切除します
体への負担手術・全身麻酔を受けずに済みます全身麻酔と手術が必要です
再発抗菌薬だけで治療した方のうち、1年以内に約4割が手術に至ったと報告されています(上のグラフ)14。小児では1年間手術なしで済んだ方が67.1%でした2虫垂を取り除くため、虫垂炎としての再発は原則としてありません(まれに、残った根元に炎症が起きる「断端虫垂炎」の報告があります)
糞石がある場合抗菌薬が効きにくく、再発しやすいことが知られています国際ガイドラインでは切除がとくに勧められています
診断の確定虫垂を調べられないため、隠れている腫瘍を見つけられないことがあります切除した虫垂を病理検査で調べ、診断を確定できます
予定の立てやすさ再燃すると急な入院・緊急手術になる可能性があります待機手術なら日程を決めて受けられます
向いている方合併症のない軽症で、手術を避けたい事情がある方糞石がある方、再発を繰り返す方、再発の不安を解消したい方

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当院の考え方

  • 抗菌薬で炎症が落ち着いた場合でも、それで治療が完了したとは限りません。落ち着いた時期に、虫垂を切除しておく選択肢があります。これを「待機的虫垂切除(interval appendectomy)」といいます。
  • 逆に、すべての方に手術が必要なわけでもありません。とくに合併症のない軽症で35歳未満の方は、ご希望や生活背景を伺ったうえで一緒に判断します。
  • 再燃(炎症のぶり返し)のたびに、炎症と癒着が進むことがあります。その結果、手術が難しくなることがあります。繰り返している方には、落ち着いた時期の待機手術のご相談をお勧めします。

抗菌薬治療そのもの(急性期の点滴・入院)は、当院では行いません。急性期に対応する医療機関で行われます。抗菌薬治療後は、炎症が落ち着いてからの待機手術をお引き受けする予定です。ご自身がどちらに当てはまるかは、対象になる方の一覧もあわせてご確認ください。

日帰り手術の適応となる条件

当院で日帰り手術をお受けいただけるかは、病気の状態だけで決めるわけではありません。全身の状態と帰宅後の環境もあわせて判断する予定です。

年齢だけで一律に判断することはありません。手術前に、麻酔科専門医が評価します。

日帰りが適切でないと判断した場合は、入院設備のある医療機関をご紹介します。手術をお勧めする方・診察のうえで一緒に判断する方の一覧は、「この手術の対象になるのはどんな方?」をご覧ください。

日帰り手術の対象となる「待機手術」

当院の日帰り手術が対象とする予定なのは、主に以下のケースです。

急性虫垂炎(軽症〜中等症): 抗菌薬治療で炎症が一度落ち着いた後、再燃(炎症のぶり返し)を防ぐために行う待機的虫垂切除術です。炎症が鎮静した状態で手術するため、腹腔内(おなかの中)の癒着や炎症が少なくなっています。そのため、腹腔鏡下での日帰り手術が行いやすい状態です。

慢性・反復性虫垂炎: 繰り返す右下腹痛の原因が虫垂炎と診断された場合、待機的に切除を行います。

穿孔・汎発性腹膜炎・膿瘍形成を伴う重症例は、日帰り手術の対象外です。こうした場合は、入院での手術が適切です。連携する医療機関をご紹介します。

日帰り手術の対象外となる場合

以下に当てはまる場合は、当院の日帰り手術の対象外となる見込みです。最終的な適応は初回診察・術前検査と麻酔科専門医の評価をふまえて判断します。

  • 他院からのご紹介がない急性期の虫垂炎の方(ご紹介がある場合も、日帰り手術の適応は診察で判断します)
  • 穿孔・汎発性腹膜炎・膿瘍形成を伴う重症例
  • 妊娠中の方
  • 心臓・呼吸器・腎臓・肝臓などに重い病気があり、日帰りでの全身麻酔が安全に行えないと判断される場合
  • 重い睡眠時無呼吸症候群がある場合、著しい肥満がある場合
  • 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を使用中で、術前の休薬が難しい場合
  • 年齢や全身状態から、日帰りでの全身麻酔・当日帰宅が適さないと判断される場合
  • 手術当日から翌日にかけて、付き添いや連絡がとれる方を確保できない場合

対象外となる場合も、入院設備のある連携医療機関をご紹介しますので、まずはご相談ください。

帰宅後に必要な準備

  • 手術当日は自動車・自転車・バイクの運転ができません(全身麻酔の影響が残るため)
  • 帰宅後、少なくとも当日中はご家族などに付き添っていただくことをお勧めします
  • 帰宅時にお渡しする緊急連絡先を確認し、いつでも連絡できるようにしておいてください

日帰り手術の全体像は日帰り手術とは、手術前後の準備は手術前後の生活と注意点、麻酔については日帰り手術の麻酔についてで詳しくご案内しています。最終的な適応は、初回診察・術前検査と麻酔科専門医の評価をふまえて判断します。

図8:急性虫垂炎と診断されてから手術までの流れ ── 日帰り待機手術(Interval Appendectomy)の対象・対象外
急性虫垂炎と診断腹痛・発熱・血液検査・超音波/CT
重症度の判定穿孔・汎発性腹膜炎・膿瘍形成の有無を確認

軽症〜中等症(穿孔なし)
/慢性・反復性虫垂炎

日帰り手術の対象

① 抗菌薬による保存的治療点滴・内服で炎症を抑える
② 炎症が鎮静痛み・発熱・炎症反応が落ち着く
③ 待機期間(インターバル)おおむね6〜12週間あけ、癒着や浮腫が引くのを待つ
④ 腹腔鏡下虫垂切除術(日帰り)当院で対応/当日ご帰宅

穿孔・汎発性腹膜炎
/膿瘍形成を伴う重症例

日帰り手術の対象外

① 早急な治療が必要な状態待機せず入院での対応が適切
② 入院での手術・処置緊急手術、膿瘍ドレナージ、抗菌薬点滴など
③ 連携医療機関をご紹介入院設備のある病院へおつなぎします

※膿瘍(うみのたまり)を伴う例では、まず抗菌薬やドレナージ(膿を外に出す処置)で炎症を鎮めることがあります。そのうえで、あらためて待機的な虫垂切除を検討することがあります。その場合は、「日帰り手術の対象」のルートに合流します。

※本図は模式図です。実際の判断は、診察・画像検査の結果をふまえて個別に行います。次の場合は、入院設備のある医療機関での治療に切り替えます。保存的治療で炎症が鎮まらない場合と、待機期間中に再燃・悪化した場合です。

急性虫垂炎の治療経過と、日帰り待機手術(Interval Appendectomy)の対象となるケース・対象外となるケースの模式図。

虫垂炎と虫垂癌(がん)の関係

虫垂炎と診断されたからといって、虫垂癌という意味ではありません。ただし、一部では腫瘍が虫垂炎の原因になっていたり、虫垂炎の手術後に腫瘍が見つかったりすることがあります。19,20

炎症と癌は、どう関係するのですか?

虫垂炎は、虫垂に炎症が起きた状態です。腫瘍によって虫垂の内側が詰まるなどして、虫垂炎として発症することがあります。

これは「虫垂炎がそのまま癌に変わる」という意味ではありません。また、研究でいう「虫垂腫瘍」には性質の異なる種類が含まれます。

腫瘍が見つかった割合を、そのまま虫垂炎の患者さん全体の「癌になる確率」と考えることはできません。12,20

炎症が治まったあとも、検査は必要ですか?

膿瘍(うみのたまり)を伴っていた方や、画像で腫瘍が疑われる方では、炎症が治まったあとも確認が大切です。年齢・画像所見・治療経過を踏まえ、追加の検査や後日の虫垂切除が必要かを個別に検討します。すべての方に同じ検査や手術が必要というわけではありません。8,20

腫瘍を調べる検査と、それぞれの役割19,20
検査何を確認する?
CTなどの画像検査虫垂や周囲のしこり、炎症の残り方などを確認します。
大腸内視鏡検査大腸の内側から、虫垂の入口付近や大腸に別の病変がないかを確認します。虫垂の中全体を直接見られる検査ではありません。
病理検査切除した虫垂を顕微鏡で調べ、腫瘍の有無や種類を確認します。

もし虫垂癌が見つかったら?

治療は、腫瘍の種類・広がり・切除した部分の検査結果によって異なります。追加の手術などが必要になる場合があります。19,20当院では切除した虫垂の病理検査結果を術後診察でご説明する予定です。癌が疑われる場合や専門的な治療が必要な場合は、対応できる医療機関と連携して治療方針を検討します。

入院手術との違い

※この表は「入院で受ける場合」と「当院の日帰り手術」の違いをまとめたものです。術式の優劣を示すものではありません。

近年は一般病院でも腹腔鏡手術が主流です。その場合の傷の大きさ・術後の痛み・社会復帰の目安は、当院の日帰り手術と大きくは変わりません。

急性期・重症例や全身状態によっては、入院での手術が適切です。その際は、連携する医療機関をご紹介します。

入院手術と日帰り手術の比較表を見る
項目 入院手術(一般病院) 日帰り手術(吉祥寺日帰り手術クリニック・腹腔鏡)
入院期間 4〜7日 なし(当日帰宅)
手術方法 腹腔鏡手術が中心(施設・状態により開腹手術) 腹腔鏡手術
傷の大きさ 腹腔鏡なら5〜10mm × 3か所/開腹なら4〜6cm × 1か所 約2cm × 1か所(へその上・単孔式)
術後の痛み 術式により異なります(開腹では中程度〜強い) 比較的軽度(鎮痛剤で管理可能)
社会復帰 1〜2週間(術式・経過により異なります) デスクワーク翌日
窓口負担(3割・目安) 医療機関の算定方式(DPC等)・入院日数・術式により異なります 約8〜9万円(保険診療開始後の見込み)
高額療養費を使った場合
(区分ウ・年収約370〜770万円の例)
所得区分ごとの上限額(日帰りと同じ区分表)+食事代・差額ベッド代 約85,900円(食事代・差額ベッド代なし)
対象 急性期・重症例を含む全例 主に待機手術(炎症鎮静後)
家族の対応 入院中のサポート 帰宅時の付き添いのみ

炎症が落ち着いた後の待機手術のご相談(2027年1月5日 保険診療開始予定): 予約受付状況 / お問い合わせ


虫垂炎について

痛みが軽くなっても「治った」とは限りません

虫垂炎では、痛みが一時的に和らぐことがあります。しかし、痛みが軽くなっても、炎症が治まったとは限りません。虫垂に穴があいた(穿孔した)直後に、いったん痛みが楽になったように感じることもあります。そのまま様子を見ていると、腹膜炎に進むおそれがあります。

次のような場合は、痛みが弱まっていても医療機関を受診してください。

  • いったん軽くなった痛みが、その後ふたたび強くなってきた
  • 痛む場所が右下腹部からおなか全体に広がってきた
  • 発熱が続く、寒気がする、脈が速い
  • 吐き気・嘔吐が止まらない、水分がとれない
  • 歩いたり咳をしたりすると、おなかに強く響く

市販の鎮痛薬で痛みを抑えると、診察時に重症度がわかりにくくなることがあります。強い腹痛が続くときは自己判断で様子を見ず、救急対応が可能な医療機関を受診してください。

診断を受けた方向けに、病気の基礎知識をまとめています。必要な項目を開いてお読みください。

「盲腸」と「虫垂炎」はどう違うのですか?

日常的には「盲腸(もうちょう)になった」と言います。しかし、炎症が起きているのは盲腸そのものではなく、盲腸の先端から細く伸びる「虫垂(ちゅうすい)」です。正しい病名は「虫垂炎」で、急性のものを「急性虫垂炎」と呼びます。手術で切除するのも盲腸ではなく虫垂だけで、大腸そのものは残ります。

呼び方指しているもの備考
盲腸(もうちょう)大腸の入口にあたる袋状の部分臓器の名前。ここ自体が炎症を起こすことは多くありません
虫垂(ちゅうすい)盲腸の先端から伸びる細い管虫垂炎で炎症を起こし、手術で切除する部分です
虫垂炎/急性虫垂炎虫垂に炎症が起きた状態=正式な病名「盲腸」「アッペ」は俗称・略称です
虫垂炎は何科を受診すればよいですか?

診断と手術を担当するのは外科・消化器外科です。他院で急性期の治療を受けて症状が落ち着いた方は、当院の待機的虫垂切除の対象になる可能性があります。

強い腹痛・高熱が続く場合は、救急対応が可能な病院を受診してください。18歳未満のお子さんは、小児外科のある医療機関を受診してください。

妊娠中の方は、産婦人科と外科の両方に対応できる医療機関を受診してください。

右下腹部の痛みは虫垂炎以外の病気でも起こります。原因の見分け方は「右下腹部の痛み|虫垂炎(盲腸)のサインと考えられる他の原因」で解説しています。当院の受診方法・持ち物は初めての方へ、診療時間と場所はアクセス・診療時間をご覧ください。

虫垂炎にはどのような症状がありますか?
図2:典型的な痛みの移動 ― みぞおち・へそ周りから右下腹部へ
虫垂炎の初期の痛み。みぞおちからへその周りにかけて広い範囲がぼんやりと痛むことを示した腹部の模式図
みぞおち〜へその周り
① 初期(発症〜数時間)

場所がはっきりせず、広い範囲が鈍く痛みます(内臓痛)

虫垂炎の進行期の痛み。痛みが右下腹部のMcBurney点へ移動して一点に集まることを示した腹部の模式図
へそ
McBurney点
② 進行期(6〜12時間後)

右下腹部の一点に痛みが集まり、押すと強く痛みます(体性痛)

虫垂炎の痛みは、はじめはみぞおち〜へその周りが漠然と痛みます。その後、6〜12時間ほどかけて右下腹部へ移動し、一点に集まります。この「痛みが移動する」経過は、虫垂炎に特徴的なサインです3。
右の図の点線は、へそと右の腰骨(上前腸骨棘)を結んだ線です。その外側3分の1にあたるのがMcBurney点です。この付近を押すと、強く痛むことがあります(圧痛)。押した手を急に離すと、さらに響くことがあります(反跳痛)。
※図は向かって左が患者さんの右側です。痛み方には個人差があり、この通りにならないこともあります。強い腹痛が続くときは、早めに医療機関を受診してください。

診断には、CTが最も精度の高い検査法とされています(コクラン・レビューの統合値で感度95%・特異度94%16)。また、発症から36時間を超えると、穿孔(虫垂に穴があくこと)のリスクが12時間ごとに約5%ずつ高まると報告されています17。

慢性・反復性虫垂炎

一度炎症が起きても軽快することがあります。軽症であれば、抗菌薬治療で軽快するケースもあります。

ただし、米国の無作為化試験(CODA)では、抗菌薬治療のみで経過をみた方のうち約40%が、1年以内に虫垂切除に至ったと報告されています(N Engl J Med. 2021;385(25):2395-2397)。再燃を防ぐために、急性期の炎症が落ち着いた後に待機的に虫垂切除術を行うことがあります。これが当院の日帰り手術の主な対象となる予定です。

虫垂炎の原因は何ですか?

虫垂の内側(内腔)が、糞石(便の固まり)やリンパ組織の腫れ、異物などでふさがれます。すると内腔で細菌が増え、炎症が起きます。ふさがった状態が続くと、虫垂の壁の血流が悪くなります。その結果、壊疽(組織が死ぬこと)や穿孔(穴があくこと)へと進みます。

虫垂炎は10〜30代に最も多く発症します。ただし、小児から高齢者まで、あらゆる年代で起こります。生涯のうちに虫垂炎になる方は、男性で約8.6%、女性で約6.7%と報告されています(PMID: 2239906)。

よくある誤解について

  • 「食べてすぐ走ると盲腸になる」「特定の食べ物が原因になる」といった説に、確立した医学的根拠はありません。
  • 虫垂炎を確実に予防する方法は現時点で確立されていません。日頃の生活で防ぐというより、症状が出たときに早く受診することが大切です。
  • 虫垂炎は人からうつる病気ではありません。

手術のあとの生活の目安(項目別)

以下は、虫垂炎(待機的腹腔鏡下虫垂切除)の手術のあとに「いつから何ができるか」をまとめた当院の目安です。当院の外科医が通常ご説明している内容をもとにしています。

明確な決まりがない項目も多くあります。痛みに応じて少しずつ負荷を上げていくなど、ご自身の体調に合わせて判断していただく部分もあります。

回復には個人差があります。実際の時期は、診察でお一人おひとりにお伝えします。項目ごとの「なぜ」と文献の根拠、術後の症状の読み方は虫垂炎手術後の生活で詳しく解説しています。

日常生活の再開の目安
項目目安
シャワー翌日から(当日はお休みください)
湯船・温泉・プール術後1週間ごろから(湯船・温泉・プールとも)
傷のケア防水テープやガーゼは、3日を目安に外せます。傷が治る過程の炎症が落ち着く3日ごろまでは、とくに清潔に保ってください
抜糸ありません
痛み止め1週間分の決まった時間に飲む薬と、痛いときに追加で飲む薬を処方します。ほとんどの方は、約1〜2週間で薬が不要になります
歩行当日から可。制限はありません
階段・立ち座り・前かがみ当日から可。制限はありません
重い物を持つ1〜2週間程度が目安です
家事・買い物・育児・介護翌日から、無理のない範囲で
軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)無理なくできる状態になれば再開できます
強めの運動(筋トレ・ランニング・球技・水泳)一律の日数は設けず個別にご案内します。目安は2週間程度です
自転車・車の運転麻酔の翌日以降で、眠気の出る鎮痛薬を使っておらず、安全に急ブレーキが踏める状態になってから
仕事(デスクワーク)状態がよければ翌日から検討できます
仕事(立ち仕事・力仕事)状態がよければ、翌日から検討できます。ただし、仕事の負荷によって異なります。重い物を持つ作業の目安は、上の「重い物を持つ」をご覧ください
出張・旅行・飛行機麻酔の影響がなくなればさしつかえありません
飲酒傷が落ち着くまで(1週間程度)は、控えることをお勧めします。飲んでもかまいませんが、血流がよくなり、痛みや傷の赤みが強くなることがあります
喫煙制限はありませんが、傷が治るまで(1週間程度)は控えるのが望ましいです
性生活制限はありませんが、2週間程度は避けるのが望ましいです。痛みのない範囲で
便通痛みでいきめず、便秘になることがあります。必要に応じて緩下剤(おだやかな下剤)を使います
痛みの経過3〜4日目以降に和らいでいくことが多いです
腫れ・違和感とくに長引くものはありません
術後の診察経過が良好であれば通常1回(病理検査の結果もこのときにご説明します)。オンライン診察も選択肢になる予定です
休薬した薬の再開休薬した薬(血液をサラサラにする薬など)の再開は、麻酔科医が手術前に個別にご案内します

手術のあとの症状と、連絡の目安

正常な経過として前もってお伝えしておくもの
症状経過
肩の痛み腹腔鏡手術のあとに起こりやすく、3日程度続くことがあります
おなかの張り・便秘麻酔と手術の影響で腸の動きが一時的に鈍ることがあります
おへその傷の痛み重い筋肉痛のような痛みで、日ごとに軽くなっていきます
微熱37.5℃以下であれば、術後の反応として様子をみて大丈夫です

すぐに当院へ連絡していただきたい症状:嘔吐が続く/急な腹痛/38℃以上の発熱/傷の赤み・腫れ、膿が出る/尿が出ない。時間帯を問わずLINEまたは電話でご連絡ください。

よくある質問

虫垂炎と診断されましたが、手術しないといけませんか?

急性虫垂炎の標準治療は、抗菌薬投与か手術です。軽症の急性虫垂炎は、抗菌薬投与で軽快することが多いです。

まず抗菌薬で様子をみることもあります。ただし、糞石(ふんせき)がある場合は再発リスクが高く、抗菌薬が効きにくいことが知られています。

また、抗菌薬単独治療では、1年以内に約40%が虫垂切除に至ったと報告されています(成人:CODA Collaborative. N Engl J Med. 2021;385(25):2395-2397。小児を対象とした研究では、抗菌薬治療のみで1年間手術を受けずに済んだ方は67.1%で、約33%が手術に至っています:Minneci PC, et al. JAMA. 2020;324(6):581-593)。

再燃した場合は、緊急手術が必要になるリスクもあります。そのため、炎症が落ち着いた後の待機的虫垂切除術が、国際ガイドラインで選択肢として示されています3,8。ご自身の状況に合わせて、担当医と十分にご相談ください。

虫垂は取ってしまっても問題ありませんか?

虫垂は、腸内細菌叢(腸内細菌の集まり)の保護や免疫機能に関与している可能性が示唆されています。しかし、切除後に明らかな健康被害が生じるというエビデンス(科学的根拠)は、現時点では確立されていません。虫垂切除術は現在も、虫垂炎に対する標準的な治療として位置づけられています。

妊娠中でも虫垂炎になりますか?

妊娠中でも虫垂炎は発症します。妊娠中の虫垂炎は、胎児への影響から、診断・治療の判断が複雑になります。そのため、当院の日帰り手術の対象外です。妊娠中に右下腹痛がある場合は、産婦人科・外科の両方に対応できる医療機関を受診してください。

急性症状がある状態で日帰り手術は受けられますか?

急性期の虫垂炎の日帰り手術は、他院からのご紹介がある方に限り、診察のうえで適応を判断する予定です。ご紹介がある場合も、日帰り手術をお約束するものではありません。穿孔・腹膜炎・膿瘍形成などで入院が必要な場合は、入院設備のある医療機関へご紹介する予定です。強い腹痛や高熱がある方は、まず救急対応が可能な医療機関を受診してください。炎症が落ち着いた後の待機的虫垂切除も対象とする予定です。

手術後いつから食事ができますか?

腹腔鏡手術は腸管への影響が少ないため、術後数時間で水分摂取が可能になります。帰宅後の夕食は消化の良い食事(おかゆ・うどん等)をお勧めします。翌日からは通常の食事が可能です。術後1週間程度は消化の良いものを中心にしてください。

手術費用は保険適用ですか?

はい、健康保険が適用されます。保険診療の場合、3割負担で約89,000円(総医療費約30万円)の見込みです。高額療養費制度を使うと、所得区分ごとの上限額(区分ウで約85,900円)までとなります。内訳は手術の費用をご覧ください。

手術中に術式が変わることはありますか?(開腹手術への移行)

安全を最優先して、開腹手術に移行することがあります。移行するのは、腹腔内の癒着(臓器どうしがくっつくこと)が強い場合、予期せぬ出血・合併症が生じた場合、虫垂の根元まで炎症が強く安全に切除できないと判断した場合です。

開腹手術に移行した場合は入院管理が必要となるため、連携する医療機関にご紹介します。術前に、リスクと費用の見込みを十分にご説明します。ご同意をいただいた上で、手術を行います。

虫垂炎の手術に入院は必要ですか?

当院が対象とする予定の待機的虫垂切除術(炎症が落ち着いた後の予定手術)は、日帰りで行う予定です。入院は不要です。術後約60分の経過観察ののち、当日にご帰宅いただける見込みです。ただし、穿孔・腹膜炎などを伴う重症の虫垂炎は入院加療が必要で、当院の日帰り手術の対象外です。

当院の虫垂炎診療の体制・方針

対象症状が落ち着いた時期に、再発予防として行う待機的虫垂切除。単孔式の腹腔鏡による日帰り手術で行う予定です。急性期の虫垂炎の日帰り手術は、他院からのご紹介がある方に限り、診察のうえで適応を判断する予定です。入院管理が必要と判断した場合は、入院設備のある医療機関へご紹介する予定です。
医療機関の先生方へ:医療関係者の方へ
執刀と麻酔の2人体制外科専門医が執刀に専念し、麻酔科専門医が全身麻酔を専任で管理する予定です(医師紹介)。設備・急変時の備え・連携医療機関については、安全管理体制をご覧ください。対応予定の手術は、対応予定の手術一覧をご覧ください。
費用の表示費用は「保険診療の場合の総額の目安」で表示します。そのうえで、窓口3割負担額と高額療養費制度を適用した後の額を分けて記載します。金額は令和8年度診療報酬点数表に基づく試算です。2027年1月5日の保険診療開始後の見込みです。

診察で確認しておきたいこと

  • 自分の場合、待機手術が最も適しているか。手術をしない選択肢(抗菌薬治療のまま経過をみる)はどうか
  • 自分の仕事・生活で、復帰の目安はいつごろか
  • 自分の既往・常用薬(血をさらさらにする薬・糖尿病薬など)で、麻酔や手術に影響するものはあるか
  • 当日帰宅できない場合はどうなるか。付き添い・帰宅手段は何が必要か
  • 費用の目安と、高額療養費制度の対象になるか
  • 術後に連絡する方法と、連絡すべき症状

このページを印刷してお持ちいただいても構いません。診察では同じ内容を紙の説明書でお渡しする予定です。

足の付け根から出る「脱腸」をお探しの方へ

「脱腸」は、足の付け根から腸が出る鼠径ヘルニアの俗称として使われることが多い言葉です。このページで解説している虫垂炎(盲腸)とは別の病気です。足の付け根の膨らみでお困りの場合は脱腸(鼠径ヘルニア)の解説、手術については鼠径ヘルニアの日帰り手術をご覧ください。

関連コラム

このページの前提

  • 本ページは一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断・適応・術式・時期は診察で決まります。
  • 数値は掲載する文献の報告値と保険点数からの試算で、当院の実績ではありません(2026年12月開設)。
  • 費用は保険診療の場合の目安で、検査・薬・加算・受診回数により変わります。
  • 内容は最終更新日時点のものです。

参考文献

参考文献(22件)を表示する
  1. Sauerland S, Jaschinski T, Neugebauer EA. Laparoscopic versus open surgery for suspected appendicitis. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(10):CD001546. doi:10.1002/14651858.CD001546.pub3 (PMID: 20927725)
  2. Minneci PC, Hade EM, Lawrence AE, et al. Association of Nonoperative Management Using Antibiotic Therapy vs Laparoscopic Appendectomy With Treatment Success and Disability Days in Children With Uncomplicated Appendicitis. JAMA. 2020;324(6):581-593. doi:10.1001/jama.2020.10888 (PMID: 32730561)
  3. Di Saverio S, Podda M, De Simone B, et al. Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines. World J Emerg Surg. 2020;15(1):27. doi:10.1186/s13017-020-00306-3 (PMID: 32295644)
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この記事の執筆・監修

黒河内 喬範(外科専門医・院長就任予定)

高宮 達郎(麻酔科専門医・副院長就任予定)

参照:WSES Jerusalem guidelines 2020(急性虫垂炎の診断と治療)

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※当院は開設準備中です(2026年12月開設・2027年1月5日 保険診療開始予定)。記載の診療内容・金額は開院後の予定・見込みです。

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虫垂炎の手術でお悩みの方、または一度炎症が落ち着いた後に根治手術をご検討中の方は、吉祥寺日帰り手術クリニック(吉祥寺駅徒歩2分・2026年12月開設)にご相談ください。外科専門医と麻酔科専門医が連携し、安全性に配慮した日帰り手術を提供する予定です。

ご相談・ご予約

当院は2026年12月開設・2027年1月5日 保険診療開始予定です。手術に関するご相談・ご予約の受付開始時期は、下記の受付状況ページでご案内します。

吉祥寺日帰り手術クリニック

〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-5 大隅ビル 2階

2026年12月開設
2027年1月5日 保険診療開始予定

診療時間(2027年1月5日 保険診療開始予定)
診療時間月火水木金土日
10:00〜17:00休●●●●●休
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