手術前後の生活と注意点
日帰り手術を安全に受け、スムーズに回復するためには、手術前の準備と手術後の過ごし方が重要です。このページでは、手術前にしていただくこと・手術当日の流れ・帰宅後の生活について、時系列に沿ってまとめました。術前の外来でも改めてご説明しますが、事前にお読みいただくことでスムーズに準備を進められます。
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手術前の準備
手術2週間前〜
| 準備事項 | 詳細 |
|---|---|
| 禁煙 | 喫煙は創傷治癒を遅らせ、術後の合併症(肺炎・創部感染など)のリスクを高めます。手術の少なくとも2週間前からは禁煙をお願いしています。禁煙期間が長いほど効果的です(Thomsen T, et al. *Ann Surg*. 2014; PMID: 23979396) |
| 内服薬の確認と調整 | 特に抗凝固薬(ワーファリン・エリキュースなど)・抗血小板薬(バイアスピリン・プラビックスなど)を服用中の方は、術前に休薬が必要な場合があります。必ず術前外来で現在の服薬内容をお伝えください。休薬の要否・時期はかかりつけ医と連携して決定します |
| サプリメント・健康食品の確認 | 一部のサプリメント(イチョウ葉エキス、ビタミンE大量摂取、EPAなど)は出血リスクを高める可能性があります。術前外来でご相談ください |
手術1週間前〜
| 準備事項 | 詳細 |
|---|---|
| アルコールの制限 | 手術1週間前からは飲酒を控えてください。アルコールは肝機能・凝固能に影響を与える可能性があります |
| 十分な睡眠と体調管理 | 風邪や発熱があると手術を延期する場合があります。体調管理に努めてください |
| 帰宅手段の確認 | 手術当日は自動車・自転車・バイクの運転はできません。公共交通機関の利用またはご家族の送迎をお願いします。可能であれば帰宅時の付き添いの方を1名確保してください |
手術前日
| 準備事項 | 詳細 |
|---|---|
| 夕食 | 通常通り摂取いただけます。ただし、消化の良い食事を心がけてください |
| 絶食開始 | 夜9時(21時)以降は食事を取らないでください。ガムや飴も含みます |
| 水分 | 水・お茶など透明な飲料は手術当日の朝まで少量摂取可能です(詳しくは次項) |
| 入浴 | 手術前日に入浴し、体を清潔にしてください。手術部位の剃毛は自分で行わないでください(クリニックで行います) |
| 就寝 | 早めに就寝し、十分な睡眠をとってください |
手術当日の朝
| 準備事項 | 詳細 |
|---|---|
| 水・お茶 | 手術2時間前まで少量(200ml程度まで)の水またはお茶の摂取は可能です。ジュース・牛乳・コーヒー(ミルク入り)は不可 |
| 常用薬 | 術前に「当日朝も服用」と指示された薬は、少量の水で服用してください。「当日朝は休薬」と指示された薬は服用しないでください |
| 服装 | 着脱しやすいゆったりした服装でお越しください(前開きのシャツ・ウエストゴムのズボン等が便利です) |
| コンタクトレンズ | コンタクトレンズは外してきてください。当日は眼鏡でお願いします |
| アクセサリー・ネイル | 指輪・ネックレス・ピアス等のアクセサリーはすべて外してください。ネイル(マニキュア・ジェルネイル含む)は事前に落としてください。SpO₂モニターの測定に支障があります |
| 化粧 | ノーメイクでお越しください(顔色の変化を確認するため) |
| 持ち物 | 保険証・お薬手帳・同意書(事前にお渡ししたもの)・楽な着替え |
| 来院時刻 | 手術予定時刻の1時間前を目安にご来院ください(詳しい時刻は術前外来でお伝えします) |
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手術後の生活(タイムライン)
手術後の回復は個人差がありますが、以下は一般的な経過の目安です。疾患・術式・個々の状態により異なりますので、術後の具体的な指示は担当医が個別にお伝えします。
手術当日(帰宅後)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 安静 | 帰宅後は横になって休んでください。無理に動く必要はありません |
| 飲食 | 医師の許可後から少量ずつ飲水を開始し、問題なければ軽い食事を摂取できます。消化の良いもの(おかゆ、うどん、スープなど)から始めてください |
| 入浴 | 入浴・シャワーは不可です。蒸しタオルで体を拭く(清拭)程度にとどめてください |
| 運転 | 自動車・自転車・バイクの運転は終日禁止です(全身麻酔の影響が残るため) |
| 付き添い | 帰宅後、少なくとも当日中はご家族等に付き添っていただくことを推奨します |
| 創部管理 | 創部のテープ・被覆材はそのままにしてください。自分で剥がさないでください |
| 服薬 | 処方された鎮痛薬・抗菌薬は指示通りに服用してください |
術後翌日〜3日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| シャワー | 翌日からシャワー浴が可能です(創部の防水テープはそのまま)。湯船に浸かるのは医師の許可が出るまでお控えください |
| 仕事復帰 | デスクワークは翌日〜3日後から可能な方が多いです(疾患による) |
| 散歩 | 軽い散歩は体調に合わせて行ってください。早期歩行は回復と血栓予防に有効です |
| 食事 | 通常の食事に戻していただけます。飲酒は控えてください |
| 服薬 | 処方薬は指示通り継続してください。痛みが軽減すれば鎮痛薬は減量可能です |
術後1週間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通常の食事 | 特に制限はありません |
| 軽い家事 | 掃除・洗濯・調理など日常的な家事は可能です。重い荷物(5kg以上)を持つことは避けてください |
| 術後検診 | 術後1週間前後で検診にご来院いただきます。創部の確認・抜糸(必要な場合)を行います |
| 入浴 | 抜糸後または医師の許可後から湯船に浸かることが可能になります |
術後2週間〜1ヶ月
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入浴 | 医師の許可が出れば、湯船に浸かる入浴が可能です |
| 運動 | 軽い運動(ウォーキング・ジョギングなど)が可能になります。腹圧がかかる運動(腹筋・重量挙げなど)はもう少し待ってください |
| 飲酒 | 医師の許可後から少量ずつ再開できます。術後2週間程度は控えることをお勧めします |
| 性生活 | 通常は術後2週間程度で再開可能です。鼠径ヘルニア術後は創部の状態を確認してから |
術後1ヶ月以降
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重労働 | 医師の許可後から重い物を持つ作業・肉体労働が可能です |
| 激しい運動 | 腹筋運動・格闘技・重量挙げなどの激しい運動が可能になります |
| 最終検診 | 術後1ヶ月前後で最終検診を行い、治癒を確認します |
| 日常生活 | 基本的に手術前と同じ生活に戻れます |
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疾患別の社会復帰タイムライン
以下は目安です。個人差がありますので、担当医の指示に従ってください。
| 疾患 | デスクワーク復帰 | 軽労働 | 重労働 | 運動再開 |
|---|---|---|---|---|
| 鼠径ヘルニア | 翌日〜3日 | 1週間 | 4週間 | 2〜4週間 |
| 虫垂炎(待機手術) | 翌日〜3日 | 1週間 | 3〜4週間 | 2〜4週間 |
| 胆石症 | 3日〜1週間 | 1〜2週間 | 4週間 | 3〜4週間 |
| 痔核 | 3日〜1週間 | 1〜2週間 | 3〜4週間 | 3〜4週間 |
| 直腸脱 | 3日〜1週間 | 2週間 | 4〜6週間 | 4〜6週間 |
| 腹壁ヘルニア | 翌日〜1週間 | 1〜2週間 | 4〜6週間 | 3〜4週間 |
| CVポート造設 | 翌日 | 翌日〜3日 | 1〜2週間 | 1〜2週間 |
デスクワーク: 座り仕事・PC作業 / 軽労働: 日常的な家事・軽い接客業 / 重労働: 重い物を持つ作業・肉体労働 / 運動再開: ジョギング・ジムなどの運動
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術後にこんな症状が出たら(緊急連絡の目安)
以下の症状が出た場合は、帰宅時にお渡しする緊急連絡先にご連絡ください。
| 症状 | 考えられる状態 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 38度以上の発熱 | 創部感染・腹腔内感染の可能性 | 当日中に連絡 |
| 創部からの出血が止まらない | 後出血の可能性 | すぐに連絡 |
| 創部からの膿・悪臭のある浸出液 | 創部感染の可能性 | 当日中に連絡 |
| 鎮痛薬を服用しても改善しない強い痛み | 合併症の可能性 | すぐに連絡 |
| お腹全体が張って硬い | 腹腔内出血・腸閉塞の可能性 | すぐに連絡 |
| 息苦しさ・胸の痛み | 肺塞栓症の可能性 | 119番(救急車) |
| 嘔吐が半日以上続く | 腸閉塞・PONV遷延の可能性 | 当日中に連絡 |
| 尿が出ない(術後8時間以上) | 尿閉の可能性 | 当日中に連絡 |
判断に迷ったら、遠慮なくご連絡ください。 「こんなことで連絡していいのか」と遠慮される方がいますが、連絡が早いほど対応も早くなります。
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よくある質問(術前術後の生活について)
Q1. いつからお風呂(湯船)に入れますか?
シャワーは術後翌日から可能です(創部の防水テープを貼ったまま)。湯船に浸かる入浴は、創部の治癒を確認した後(通常は術後1〜2週間、抜糸後)に医師が許可を出します。温泉・サウナ・プールは術後1ヶ月程度お控えください。
Q2. いつから車を運転できますか?
手術当日は全身麻酔の影響が残るため、自動車・自転車・バイクの運転は終日禁止です。翌日以降の運転再開については、痛みや体の動きに問題がなければ可能ですが、鎮痛薬(特にオピオイド系)を服用中は運転を控えてください。運転の再開時期は疾患・術式により異なりますので、術後外来でご確認ください。
Q3. 術後に飲酒してもいいですか?
術後2週間程度は飲酒を控えることをお勧めしています。アルコールは血管を拡張させて出血リスクを高めるほか、鎮痛薬との相互作用もあります。医師の許可が出たら少量から再開し、体調を見ながら通常量に戻してください。
Q4. 旅行・出張はいつから可能ですか?
国内旅行・出張は、デスクワーク復帰と同程度の時期(術後3日〜1週間)から可能な場合が多いです。ただし、術後1週間の検診を受けられる日程を確保してください。海外旅行・長時間のフライト(DVTリスク)は術後2〜4週間以降をお勧めします。具体的な時期は術式と回復状況によりますので、担当医にご相談ください。
Q5. 術後の食事で気をつけることはありますか?
手術当日は消化の良い食事(おかゆ・うどん・スープなど)から始めてください。翌日以降は特に厳しい制限はありませんが、刺激の強い食事(辛いもの・脂っこいもの)は数日間控えることをお勧めします。痔核の手術後は、便秘予防のために食物繊維と水分を十分に摂取してください。
Q6. 傷跡はどのくらい残りますか?
腹腔鏡手術の傷は5mm〜12mm程度と小さく、術後半年〜1年かけて徐々に目立たなくなります。傷の治り方には個人差がありますが、一般的に腹腔鏡手術の傷は開腹手術と比較して目立ちにくいとされています。赤みや硬さが気になる場合は術後検診でご相談ください。テープ保護や遮光などのケアをご案内することがあります。
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参考文献
- Thomsen T, Villebro N, Moller AM. Interventions for preoperative smoking cessation. *Cochrane Database Syst Rev*. 2014;(3):CD002294. doi:10.1002/14651858.CD002294.pub4 (PMID: 24671929)
- Practice Guidelines for Preoperative Fasting and the Use of Pharmacologic Agents to Reduce the Risk of Pulmonary Aspiration: Application to Healthy Patients Undergoing Elective Procedures: An Updated Report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Preoperative Fasting. *Anesthesiology*. 2017;126(3):376-393. doi:10.1097/ALN.0000000000001452 (PMID: 28045707)
- Ljungqvist O, Scott M, Fearon KC. Enhanced Recovery After Surgery: A Review. *JAMA Surg*. 2017;152(3):292-298. doi:10.1001/jamasurg.2016.4952 (PMID: 28097305)
- Douketis JD, Spyropoulos AC, Spencer FA, et al. Perioperative management of antithrombotic therapy: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines. *Chest*. 2012;141(2 Suppl):e326S-e350S. doi:10.1378/chest.11-2298 (PMID: 22315266)
- Gustafsson UO, Scott MJ, Hubner M, et al. Guidelines for Perioperative Care in Elective Colorectal Surgery: Enhanced Recovery After Surgery (ERAS) Society Recommendations: 2018. *World J Surg*. 2019;43(3):659-695. doi:10.1007/s00268-018-4844-y (PMID: 30426190)
- Sorensen LT. Wound healing and infection in surgery: the pathophysiological impact of smoking, smoking cessation, and nicotine replacement therapy: a systematic review. *Ann Surg*. 2012;255(6):1069-1079. doi:10.1097/SLA.0b013e31824f632d (PMID: 22566015)
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当院について
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | 吉祥寺日帰り手術クリニック |
| 院長 | 黒河内喬範(外科専門医) |
| 副院長 | 高宮達郎(麻酔科専門医) |
| 所在地 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-5 |
| 最寄駅 | JR中央線・京王井の頭線 吉祥寺駅 徒歩2分 |
| 開院 | 2026年秋予定 |
手術の準備や術後の生活について詳しく知りたい方は、術前外来にてお気軽にご質問ください。患者さんの生活スタイルに合わせた具体的なアドバイスを、担当医がお伝えします。