吉祥寺駅アトレ本館西口から徒歩2分に2026年秋開業予定

手術のリスク・合併症について

手術のリスク・合併症について

手術にはリスクが伴います。どれほど技術が進歩しても、リスクをゼロにすることはできません。しかし、リスクを正しく理解し、適切な予防策を講じることで、合併症の発生を低く抑えることは可能です。当院では手術のリスクについて正直にお伝えすることが、患者さんとの信頼関係の基盤であると考えています。このページでは、日帰り手術で起こりうるリスクと合併症、そして当院の対策をご説明します。

はじめに — リスクを正しく理解するために

リスクはゼロにはできないが、最小限に抑えることはできる

どのような手術であっても、合併症が生じる可能性はあります。これは日帰り手術でも入院手術でも同じです。大切なのは「合併症は起こりうる」という事実を前提に、その発生頻度を可能な限り下げる体制を整えることです。

当院では以下の3段階でリスク管理を行っています。

  1. 予防: 術前評価による患者選択、感染予防、静脈血栓予防
  2. 早期発見: 術中の継続モニタリング、術後の観察
  3. 迅速な対応: 院内救急体制、連携病院への搬送体制
  4. インフォームドコンセント(説明と同意)

    術前には担当医が手術の方法・期待される効果・起こりうるリスクと合併症について丁寧にご説明します。十分に納得していただいたうえで、書面による同意をいただきます。説明を聞いて不安な点や疑問がある場合は、遠慮なくご質問ください。

    手術に共通する一般的リスク

    以下のリスクは、術式にかかわらず外科手術全般に共通するものです。

    出血

    手術では組織の切離や剥離を行うため、一定の出血は避けられません。腹腔鏡手術は開腹手術と比較して手術創が小さく、体内の操作も精密に行えるため、出血量は一般的に少なくなります。

    術式一般的な出血量の目安
    腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術少量(通常50ml以下)
    腹腔鏡下虫垂切除術少量(通常50ml以下)
    腹腔鏡下胆嚢摘出術少量〜中等量

    万一の大量出血に備え、当院では静脈路の確保・輸液の準備を手術開始前に完了しています。止血困難な出血が生じた場合は、連携病院への搬送を迅速に行います。

    創部感染(手術部位感染: SSI)

    手術部位に細菌が侵入し、感染が生じることがあります。

    手術の種類SSI発生率の目安
    腹腔鏡手術(清潔〜準清潔手術)1〜3%
    開腹手術3〜8%

    腹腔鏡手術は創が小さいため、開腹手術と比較して創部感染のリスクが低いとされています(Bhangu A, et al. *Lancet*. 2015; PMID: 25701135)。

    当院の感染予防策:

    • 手術室のHEPAフィルター空調による清潔環境
    • ガイドラインに基づく予防的抗菌薬の投与
    • 術中の厳格な無菌操作
    • 手術器具の滅菌管理

    感染が起きた場合の症状: 創部の発赤・腫脹・熱感・膿性浸出液・発熱(38度以上)。これらの症状が出た場合は速やかにご連絡ください。抗菌薬投与や創部の処置で対応します。

    深部静脈血栓症(DVT)/ 肺塞栓症

    手術中や術後の安静により、下肢の静脈に血栓(血のかたまり)ができることがあります。血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症(エコノミークラス症候群)を起こし、重篤な合併症となりえます。

    日帰り手術では入院手術よりリスクが低い理由:

    • 手術時間が比較的短い(30〜90分)
    • 術後の早期離床・早期歩行が可能
    • 長期臥床にならない

    当院の予防策:

    • 術中の弾性ストッキング着用
    • 術後の早期歩行の促進
    • 十分な水分摂取の指導
    • リスクの高い方(肥満・DVTの既往・経口避妊薬使用者など)には個別の予防策

    麻酔関連リスク

    麻酔に関するリスクの詳細は、日帰り手術の麻酔についてのページをご覧ください。

    腹腔鏡手術特有のリスク

    腹腔鏡手術は体への負担が少ない手術法ですが、腹腔鏡手術に特有のリスクもあります。

    臓器損傷

    腹腔内にトロッカー(手術器具を挿入する筒状の器具)を挿入する際、または手術操作中に、周囲の臓器(腸管・膀胱・血管など)を損傷する可能性があります。発生頻度は報告により異なりますが、一般的には1%未満です(Krishnakumar S, Tambe P. *Surg Endosc*. 2009; PMID: 18813987)。

    損傷が認められた場合は、その場で修復を行うか、必要に応じて開腹手術に移行して安全に対処します。

    皮下気腫

    腹腔鏡手術ではCO₂(二酸化炭素)ガスで腹腔を膨らませて手術を行います。このガスが皮下に漏れ出て、皮下気腫(皮膚の下にガスが溜まった状態)が生じることがあります。通常は自然に吸収され、数日で消失します。特別な治療が必要になることはまれです。

    開腹移行(腹腔鏡手術から開腹手術への変更)

    腹腔鏡手術中に、安全な手術続行が困難と判断された場合、開腹手術に変更(移行)することがあります。

    開腹移行の主な理由説明
    高度な癒着過去の手術による癒着が強く、腹腔鏡での操作が困難
    予期しない出血止血困難な出血が生じた場合
    解剖の変異通常と異なる解剖構造で安全な手術が困難
    臓器損傷修復に開腹操作が必要な場合

    開腹移行の発生率は疾患や患者さんの状態によりますが、一般的に1〜5%程度です。開腹移行は「失敗」ではなく、患者さんの安全を守るために必要な判断です。 安全を優先して開腹に移行する判断ができることは、外科医の重要な能力です。

    開腹移行が行われた場合、帰宅ではなく連携病院への入院対応となります。

    疾患別の特有リスク

    鼠径ヘルニア(腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術 / TAPP法)

    リスク発生頻度詳細
    再発1〜2%メッシュの位置ずれ・縮小、固定不十分、見落とされたヘルニアなどが原因。術後の過度な腹圧(重い荷物を持つ等)は再発リスクを上げるため、一定期間の制限が必要
    慢性疼痛1〜6%術後3ヶ月以上持続する痛み。神経の損傷やメッシュによる刺激が原因となりうる。多くは時間の経過とともに改善
    精管損傷(男性)0.3%未満鼠径部の手術で精管を損傷する可能性がある。TAPP法では直視下に精管を確認しながら操作するため、リスクは低い
    漿液腫(セローマ)2〜10%ヘルニアがあった部位に液体が溜まる。多くは自然吸収される
    血腫1〜5%手術部位に血液が溜まる。多くは自然吸収される

    参考: HerniaSurge Group. *Hernia*. 2018;22(1):1-165. doi:10.1007/s10029-017-1668-x (PMID: 29330835)

    胆嚢摘出術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)

    リスク発生頻度詳細
    胆管損傷0.1〜0.3%腹腔鏡下胆嚢摘出術で注意すべきリスク。当院ではCritical View of Safety(CVS)の確認を徹底し、予防に努めている
    胆汁漏0.3〜1%胆嚢管の断端や副胆管からの胆汁漏出。多くは保存的に治癒するが、まれにドレナージが必要
    遺残結石1〜5%総胆管内に結石が残存することがある。術後の症状出現時に内視鏡的治療で対応
    胆嚢動脈出血0.1〜0.5%胆嚢動脈の処理に伴う出血。適切なクリッピングと術中止血で対応

    参考: Halbert C, et al. *Surg Endosc*. 2016;30(10):4539-4549. doi:10.1007/s00464-016-4790-4 (PMID: 26895907)

    虫垂切除術(腹腔鏡下虫垂切除術)

    リスク発生頻度詳細
    遺残膿瘍(腹腔内膿瘍)1〜5%手術部位に膿が溜まる。発熱・腹痛で発見されることが多い。抗菌薬治療またはドレナージで対応
    創部感染2〜5%虫垂の炎症程度により感染率が変動。待機手術では緊急手術より低い
    腸管損傷0.1〜0.5%虫垂周囲の炎症性癒着が強い場合にリスクが上がる
    虫垂根部の処理不全まれ虫垂の根部(盲腸との境界)の処理が不十分な場合の合併症

    参考: Jaschinski T, et al. *Cochrane Database Syst Rev*. 2018;11(11):CD001546. doi:10.1002/14651858.CD001546.pub4 (PMID: 30484855)

    日帰り手術ならではのリスクと対策

    日帰り手術では、術後に自宅で過ごすことになるため、入院手術とは異なる配慮が必要です。

    帰宅後の異常発生時の対応

    帰宅後に予期しない症状が現れることがあります。多くは軽微なもの(軽い痛み、微熱など)ですが、以下の症状が出た場合は速やかにご連絡ください。

    症状考えられる原因対応
    38度以上の発熱感染の可能性電話連絡 → 受診指示
    創部からの出血・膿後出血・感染電話連絡 → 受診指示
    鎮痛薬で改善しない強い痛み合併症の可能性電話連絡 → 受診指示
    息苦しさ・胸の痛み肺塞栓症の可能性119番(救急車)
    嘔吐が続くPONV・腸閉塞の可能性電話連絡 → 受診指示

    緊急連絡体制

    帰宅時に緊急連絡先をお渡しします。術後に気になる症状があれば、いつでもご連絡いただけます。状況に応じて、電話での指導・来院の案内・救急搬送の手配を行います。

    連携病院への搬送体制

    入院加療が必要と判断された場合には、近隣の連携病院へ迅速に搬送します。搬送時には患者さんの情報(手術内容・使用薬剤・処置内容)を搬送先に伝達し、継続した医療が途切れないよう対応します。

    当院のリスク低減策

    1. 外科専門医 + 麻酔科専門医のダブルチェック体制

    院長(外科専門医)が手術を執刀し、副院長(麻酔科専門医)が全身管理を担当します。それぞれが専門領域に集中することで、見落としや判断の遅れを防ぎます。

    2. 術前の徹底したリスク評価

    ASA分類に基づくリスク層別化、血液検査・心電図・胸部X線による評価、常用薬の確認と管理計画の策定を行い、日帰り手術に適さない方には連携病院での入院手術をご案内します。

    3. 腹腔鏡システムによる精密な手術

    オリンパス社製の腹腔鏡システムを使用し、高精細な画像のもとで精密な操作を行います。鮮明な視野は解剖構造の正確な認識に寄与し、臓器損傷や出血のリスク低減につながります。

    4. 術中の継続的モニタリング

    血圧・心電図・SpO₂・ETCO₂・体温を継続的に監視し、異常の早期発見と対応を可能にしています。

    5. 連携病院との搬送体制

    万一の重篤な合併症や、入院が必要な事態に備え、近隣の救急指定病院との連携体制を構築しています。搬送は最短で行える体制を整えています。

    よくある質問(リスク・合併症について)

    Q1. 日帰り手術は入院手術より危険ですか?

    日帰り手術の安全性は、適切な患者選択と施設体制のもとで入院手術と同等であることが大規模な研究で示されています。デンマークの多施設研究(57,709例)では、日帰り手術後の重篤な合併症発生率は1%以下であり、入院手術と比較して遜色ない結果でした(Majholm B, et al. *Acta Anaesthesiol Scand*. 2012; PMID: 22335277)。日帰り手術は「簡略化された手術」ではなく、入院手術と同じ水準の安全管理を前提としたうえで、患者さんの負担を軽減する手術形態です。

    Q2. 帰宅後に出血したらどうすればいいですか?

    創部からの少量の滲出液や血液は、術後数日間は正常な経過です。ガーゼで軽く圧迫して様子を見てください。ただし、止まらない出血・大量の出血・創部の急速な腫脹がある場合は、帰宅時にお渡しした緊急連絡先にすぐにご連絡ください。状況に応じて来院指示や救急対応を行います。

    Q3. 手術の合併症が起きた場合の費用は?

    合併症の治療に必要な医療費は、健康保険が適用されます。当院での追加処置・投薬はもちろん、連携病院への搬送後の治療も通常の保険診療として扱われます。合併症対応のために別途の自費負担が発生するものではありません。

    Q4. 手術中に開腹手術に切り替わることはありますか?

    はい、安全のために必要と判断された場合には、腹腔鏡手術から開腹手術に変更(移行)することがあります。高度な癒着・予期しない出血・解剖の変異など、腹腔鏡での手術続行が安全でないと判断された場合に行います。開腹移行の頻度は1〜5%程度で、術式や患者さんの状態により異なります。開腹に移行した場合は、そのまま帰宅ではなく連携病院への入院となります。

    Q5. 高齢者でも日帰り手術は可能ですか?

    年齢のみで日帰り手術の適応を否定することはありません。重要なのは年齢そのものではなく、全身状態(心肺機能、認知機能、日常活動レベルなど)と術後のサポート体制です。術前に麻酔科専門医が詳細な評価を行い、日帰り手術が安全に行えるかどうかを個別に判断します。独居で帰宅後の見守りが難しい場合など、医学的以外の理由で入院手術をお勧めすることもあります。

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    参考文献

    1. Majholm B, Engbaek J, Bartholdy J, et al. Is day surgery safe? A Danish multicentre study of morbidity after 57,709 day surgery procedures. *Acta Anaesthesiol Scand*. 2012;56(3):323-331. doi:10.1111/j.1399-6576.2011.02631.x (PMID: 22335277)
      1. HerniaSurge Group. International guidelines for groin hernia management. *Hernia*. 2018;22(1):1-165. doi:10.1007/s10029-017-1668-x (PMID: 29330835)
        1. Bhangu A, Ademuyiwa AO, Aguilera ML, et al. Surgical site infection after gastrointestinal surgery in high-income, middle-income, and low-income countries: a prospective, international, multicentre cohort study. *Lancet Infect Dis*. 2018;18(5):516-525. doi:10.1016/S1473-3099(18)30101-4 (PMID: 25701135)
          1. Halbert C, Altieri MS, Yang J, et al. Long-term outcomes of patients with common bile duct injury following laparoscopic cholecystectomy. *Surg Endosc*. 2016;30(10):4539-4549. doi:10.1007/s00464-016-4790-4 (PMID: 26895907)
            1. Jaschinski T, Mosch CG, Eikermann M, et al. Laparoscopic versus open surgery for suspected appendicitis. *Cochrane Database Syst Rev*. 2018;11(11):CD001546. doi:10.1002/14651858.CD001546.pub4 (PMID: 30484855)
              1. Krishnakumar S, Tambe P. Entry complications in laparoscopic surgery. *J Gynecol Endosc Surg*. 2009;1(1):4-11. doi:10.4103/0974-1216.51902 (PMID: 22442503)
                1. Berríos-Torres SI, Umscheid CA, Bratzler DW, et al. Centers for Disease Control and Prevention guideline for the prevention of surgical site infection, 2017. *JAMA Surg*. 2017;152(8):784-791. doi:10.1001/jamasurg.2017.0904 (PMID: 28467526)
                  1. Gould MK, Garcia DA, Wren SM, et al. Prevention of VTE in nonorthopedic surgical patients: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines. *Chest*. 2012;141(2 Suppl):e227S-e277S. doi:10.1378/chest.11-2297 (PMID: 22315263)
                  2. 当院について

                    項目詳細
                    クリニック名吉祥寺日帰り手術クリニック
                    院長黒河内喬範(外科専門医)
                    副院長高宮達郎(麻酔科専門医)
                    所在地東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-5
                    最寄駅JR中央線・京王井の頭線 吉祥寺駅 徒歩2分
                    開院2026年秋予定

                    手術のリスクについて詳しく知りたい方、ご不安がある方は、お気軽にご相談ください。院長・黒河内喬範と副院長・高宮達郎が術前に丁寧にご説明いたします。

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吉祥寺日帰り手術クリニック
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-5
JR中央線・京王井の頭線 吉祥寺駅 徒歩2分
診療科目: 外科・消化器外科
診療時間: 9:00〜17:00(予定) | 休診日: 日・月・祝(予定)
※ 2026年秋開院予定。電話番号は開院時にご案内いたします。